2008 Fiscal Year Annual Research Report
プロスタグランジンの輸送・代謝機構からの胃癌の病態生理の解明
Project/Area Number |
19590733
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
渡邉 俊雄 Osaka City University, 大学院・医学研究科, 講師 (50336773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 靖弘 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (40285292)
富永 和作 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (80336768)
谷川 徹也 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (70423879)
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Keywords | 癌 / 増殖 / 予後 |
Research Abstract |
各種消化器癌の病態にcyclooxygenase (COX)-2あるいはCOX-2由来のprostaglandin (PG)E_2が深く関与しているが、近年PGE_2の代謝酵素である15-hydroxyprostaglandin dehydrogenase (15-PGDH)の発癌機構における役割が注目されている。胃癌切除標本を用いて15-PGDHの発現を検討したところ、15-PGDHの発現は細胞質に局在し、正常粘膜、胃炎粘膜、胃癌組織の順に低下することが判明した。また、本酵素の発現と癌組織の増殖能(Ki67陽性率)や分化度は負の相関が認められた。 また、多変量解析を行ったところ、15-PGDHの発現は独立した胃癌患者の予後規定因子であることが判明し、本酵素の発現が増加している例では予後が良好であるあることが明らかになった、すなわち、15-PGDHは胃癌における進展抑制因子であることが証明された。 一方、In vitroの検討では各種胃癌細胞株における本酵素の発現をmRNA (RT-PCR法)ならびびタンパク(western blot法)レベルにおいて確認した。胃癌細胞株のなかでAGSとMKN45は15-PGDHタンパクを発現していたが、MKN7、NUGC3およびNCI-N87においては発現が消失していた。そこで胃癌細胞における15-PGDHの役割を明確にするため、前述のAGS細胞の15-PGDHをsiRNA法にてノックダウンしPGE2刺激を行い細胞増殖能を検討した。15-PGDHのノックダウンによりPGE2刺激による細胞増殖はより亢進したことから、15-PGDHは細胞増殖を直接調節していることが明らかになった。 以上の結果から、15-PGDHをターゲットとした胃癌増殖抑制が可能であると考えられ、本酵素の発現調節機構について検討を進める予定である。
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Research Products
(1 results)