2009 Fiscal Year Annual Research Report
プロスタグランジンの輸送・代謝機構からの胃癌の病態生理の解明
Project/Area Number |
19590733
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
渡邉 俊雄 Osaka City University, 大学院・医学研究科, 准教授 (50336773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 靖弘 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (40285292)
冨永 和作 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (80336768)
谷川 徹也 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (70423879)
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Keywords | 癌 / 増殖 / 予後 |
Research Abstract |
Prostaglandin(PG)E_2は胃癌の病態に深く関与している。近年、PGE_2の代謝酵素である15-hydroxyprostaglandindehy drogenase(15-PGDH)の発癌機構における役割が注日されており、本酵素の発現低下によりPG過剰状態がより増強され、腫瘍の生物学的悪性度が高まる可能性が示唆されている。胃癌手術症例71例において15-PGDHタンパクの発現を検討したところ、35例で15-PGDHの発現低下が認められた。そこで、15-PGDHの発現と胃癌手術後の予後を検討したところ、15-PGDHの発現は独立した胃癌患者の負の予後規定因子であることが多変量解析にて判明した。一方、cyclooxygenase(COX)-2の発現と生命予後とは関連を認めなかった。 また、15-PGDH陰性群においては、15-PGDH陽性群に比較してKi67陽性胃癌細胞数が有意に多かった。In vitroの検討では15-PGDH陽性胃癌細胞株であるAGS細胞においてsiRNA法にて15-PGDH発現をノックダウンした場合や、特異的阻害剤で15-PGDH酵素活性を阻害した場合において細胞増殖能が亢進する現象が確認できた。以上の結果から、15-PGDHは胃癌における細胞増殖抑制因子であることが証明できた。 以上の結果から、15-PGDHは比較的簡便に臨床応用できる新たな予後規定因子であると考えられる。 また、15-PGDHをターゲットとした胃癌増殖制御についても今後の展開が期待できる。
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Research Products
(1 results)