2008 Fiscal Year Annual Research Report
間質性肺炎増悪因子としてのインフルエンザ感染とニトロ化ストレスの分子病態解析
Project/Area Number |
19590902
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
岡本 竜哉 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 助教 (30419634)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤池 孝章 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (20231798)
伊藤 隆明 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (70168392)
|
Keywords | ニトロ化ストレス / インフルエンザウイルス / 特発性間質性肺炎 / 急性障害後の肺線維化 / 8-ニトロ-cGMP / 蛋白質翻訳後修飾S-グアニル化 / ヘムオキシゲナーゼ-1 / 治療戦略 |
Research Abstract |
本年度の研究では、マウスインフルエンザウイルス急性肺傷害モデルを用いて、一酸化窒素(NO)と活性酸素によるニトロ化ストレスが、肺の組織傷害と線維化に及ぼす影響ついて解析を行った。 まず、ニトロ化ストレスの新しいバイオマーカーとして、NOの二次シグナル分子であるcGMPがニトロ化された8-ニトログアノシン3′,5′-環状1リン酸(8-ニトローcGMP)を同定した。そこで、本化合物に対する抗体を作成し、感染肺組織を解析したところ、感染第7-9病日をピークとして、肺局所に浸潤した炎症細胞および気道上皮細胞に強い免疫染色像を認めた。さらに、感染に伴ない肺局所で抗酸化・抗アポトーシス作用を有するヘムオキシゲナーゼー1(HO-1)の発現が亢進しており、その程度は誘導型NO合成酵素(iNOS)欠損マウスに比べて野生型マウスでより顕著であった。また、第17病日においては広範な肺の線維化とHO-1の持続的発現を認め、線維化形成におけるHO-1の関与が示唆された。 次に、iNOS欠損マウスに、浸透圧ポンプ持続皮下投与、腹腔内投与、気管内投与の3経路にて合成8-ニトローcGMPを投与し、肺・肝臓・腎臓などにおけるHO-1の発現レベルを解析したところ、気管内投与にて有意なHO-1の誘導を認めた。 また、8-ニトローcGMPが蛋白質チオール基と反応して、cGMPを付加する全く新規な翻訳後修飾(S-グアニル化)をもたらすことを見いだし、また培養細胞系にて、8-ニトローcGMPがHO-1誘導を制御するKeaplのS-グアニル化を介してシグナル分子として機能していることを証明した。 以上より、ニトロ化ストレスにより生じる8-ニトローcGMPは、HO-1をはじめとする酸化ストレス応答を制御するシグナル分子として、肺傷害や肺線維化の病態形成に関与している可能性が示唆され、新たな治療戦略上の応用が期待された。
|
Research Products
(23 results)