2007 Fiscal Year Annual Research Report
皮質集合管のナトリウム再吸収と連動しないカリウム分泌機序の解明
Project/Area Number |
19590962
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
武藤 重明 Jichi Medical University, 医学部, 准教授 (40190855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮田 幸雄 自治医科大学, 医学部, 客員研究員 (00285777)
岩津 好隆 自治医科大学, 医学部, 研究生 (40424014)
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Keywords | 皮質集合管 / カリウム分泌 / ナトリウム再吸収 |
Research Abstract |
腎臓は摂取したKの約9割を排泄する臓器で、皮質集合管(CCD)がその役割を中心的に担っている。CCDにおけるK分泌はNa再吸収と連動して起こり、血管側膜の起電性NaポンプとKチャネル、管腔側膜のNaチャネルとKチャネルが司っている。我々は、ウサギ腎より単離したCCDを管腔内Na存在下で灌流し血管側K濃度を2.5から8.5mMに急速に増加させると、経上皮電位(V_T)と血管側膜電位(V_B)は一過性の急激な過分極とそれに続く緩やかな脱分極を認め、前者は血管側膜の起電性Naポンプ活性の増加、後者は管腔側膜Naチャネル活性とKチャネル活性の増加によって起こることを報告した(Am J Physiol 276:F143, 1999)。ここで、管腔内Na濃度が0になったらK分泌は完全に消失してしまうのかという疑問が生じた。そこで、本研究ではこの疑問に答えるべく、CCDにおける管腔内Na非依存性K分泌の有無とその機序を検討した。ウサギCCDを単離・灌流し、管腔内Na非存在下で血管側のK濃度を2.5から8.5mMに増加させると、Na存在下に比べその程度は小さいが、正味のK分泌量は増加した。また、V_TとV_Bはいずれも脱分極を示し、管腔内Na存在下で出現した過分極相は認められなかった。この時、経上皮コンダクタンス(G_T)と分画管腔側膜抵抗(fR_A)はともに増加した。血管側のK濃度増加によるV_T、V_Bの脱分極と、G_T、fR_Aの増加は、Kチャネル阻害薬のBaの管腔内または血管側への投与によって部分的に抑制されたが、Naチャネル阻害薬のamilorideの管腔内投与では不変であった。血管側へのBa存在下でK濃度を8.5mMの増加させると,Ba非存在下では検出できなかったV_TとV_Bの過分極相が認められた。以上より、ウサギCCDでは血管側K濃度の増加に対し管腔内Na非依存性のK分泌機序が存在し、これには血管側膜の起電性NaポンプとKチャネル、管腔側膜のKチャネルが関与していることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)