2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19591052
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
木戸 良明 Kobe University, 大学院・医学系研究科, 講師 (10335440)
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Keywords | 膵β細胞量 / 飢餓ストレス / 低体重出生 |
Research Abstract |
妊娠したメスのC57BL6Jマウスを用いて、妊娠後期(10.5 d.p.c.)から70%の食餌制限を行った(実験群)。出生したマウスは生後4週齢まで通常どおりに母乳で飼育し、4週目から通常食(NC)群と高脂肪食(HFD)群に分ける。それぞれの群のマウスの体重、血糖値、血中インスリン値、膵β細胞の形態などの経時変化を分析・検討した。 妊娠後期に低栄養状態にした母から生まれた低体重出生マウスの膵臓では、対照群(非食事制限母からの出産)と比較して膵β細胞量な著明な減少を認めた(膵β細胞量(膵単位面積当たり):1.40±0.13 vs 0.51±0.20%,P<0.05)。低体重出生マウスは出生直後からcatch-up growthとみられる体重増加を認め、生後2週齢で対照群に比し体重の有意な増加を認めた。しかし、膵β細胞量は4週齢においても依然として対照群より有意な減少を示した(膵β細胞量:0.62±0.07 vs 0.39±0.05%,P<0.05)。生後4週齢以降、HFD群においても随時血糖値は両群間で有意な差を認めなかったが、随時インスリン値は実験群で高値を示しインスリン抵抗性の存在が示唆された。12週齢の糖負荷検査では実験群で軽度の耐糖能異常を呈した。同週齢での膵β細胞量は対照群よりもむしろ増大しており(膵β細胞量:0.27±0.04 vs 0.59±0.08%,P<0.05)、HFD負荷による末梢のインスリン抵抗性に対する膵β細胞の代償性肥大が対照群よりも早期に生じていると考えられた。20週齢になると実験群の随時インスリン値は対照群よりむしろ低値を示すようになる。膵β細胞の疲弊が早期に生じている可能性が示唆された。 低体重出生マウスでは膵β細胞の発育不全をきたす。生後通常食に戻った後も膵β細胞の脆弱性・予備力の低下は完全には回復せず、成熟後の肥満等のインスリン抵抗性のもとでは容易に膵β細胞不全を生じ、耐糖能異常をきたしやすいと考えられる。
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