2008 Fiscal Year Annual Research Report
cPLA2制御によるPPARγ活性化を応用した新規糖尿病治療法開発の試み
Project/Area Number |
19591056
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松村 剛 Kumamoto University, 医学部付属病院, 医員 (20398192)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮村 信博 熊本大学, 医学部付属病院, 講師 (40274716)
本島 寛之 熊本大学, 医学部付属病院, 医員 (40398201)
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Keywords | cPLA_2 / PPARγ / COX-2 / インスリン抵抗性 / 動脈硬化 |
Research Abstract |
<平成20年度に実施した研究の成果> 本研究は、cytosolic phospholipase A_2(cPLA_2)の制御によるPPARγ活性化の機序を解明し、その効果を介したインスリン抵抗性改善作用の有無を検討することを目的とし行った。平成19年度ではcPLA_2の阻害が、マクロファージあるいは脂肪細胞においてPPARγの活性化を誘導すること、またこの機序にCOX-2の産生増加が関与することを見出した。平成20年度の研究では、 1,阻害剤、siRNAを用いたcPLA_2阻害により、3T3-L1脂肪細胞の分化誘導効果が認められた。 2,1と同様に阻害剤、siRNAを用いたcPLA_2阻害により、LPs刺激によるマクロファージからのTNF-α、McP-1産生がされた。またこの効果はPPARγsiRNAにより解除された。 3,インスリン抵抗性モデルマウスとして高脂肪食付加したC57B1/6マウスを用い、cPLA_2阻害剤(AACOCF_3)を経口にて投与、その4週間後のマウスに対しGlucose tolerance test(GTT)、Insulin tolerance test(ITT)を行ったところ、明らかな耐糖能、インスリン抵抗性の改善が認められた。また、腹腔内の脂肪組織を採取し、脂肪細胞のサイズを測定したところ、AACOCF_3投与群において明らかな脂肪細胞の小型化が認められた。 以上の結果から、cPLA_2の阻害は、マクロファージあるいは脂肪細胞においてPPARγの活性化を介したインスリン抵抗性改善効果を誘導すること、またその結果、高脂肪食負荷マウスの耐糖能を改善する可能性が考えられた。 これらの成果は、cPLA_2が2型糖尿病治療の標的分子であると共に、cPLA_2阻害剤が糖尿病治療に有益である可能性を示唆している。
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