2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19591123
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
森 直樹 University of the Ryukyus, 医学研究科, 教授 (10220013)
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Keywords | HTLV-I / ATL / カベオリン / シグナル伝達 / 発現制御 |
Research Abstract |
カベオラは、スフィンゴ脂質とコレステロールに富む細胞膜の陥凹構造であり、細い開口部と50〜80nmの内腔をもつ。カベオラは多くの細胞に存在するが、リンパ球や神経細胞には存在しない。カベオラの主要構成タンパク質としてカベオリン-1が同定された。カベオリン-1には、全長178アミノ酸からなるαと、N末の31アミノ酸が欠失しているβの2つのアイソフォームが存在する。カベオリン-1は、膜タンパク質であり、scaffoldingドメインを介してオリゴマーを形成すると同時に、そのC末はパルミトイル化を受け細胞膜にアンカーしている。また、カベオリン-1はさまざまなシグナル伝達分子とscaffoldingドメインを介して会合し、機能制御を行うことが報告されている。その中には細胞増殖などの細胞機能に関わる分子も含まれる。カベオリンには、-1の他に、-2や-3も同定されている。カベオリン-2は、カベオリン-1と同じ細胞、組織で共発現しているのに対し、カベオリン-3は主に骨格筋、心筋細胞に発現している。一方、HTLV-IはCD4^+T細胞に感染後、成人T細胞白血病(ATL)を引き起こすレトロウイルスであり、発癌の分子機構はいまだ解明されていない。HTLV-Iのトランスフォーミングタンパク質TaxはT細胞の不死化に不可欠であり、その多彩な機能を多くの研究者が追求しているが、全貌の解明には至っていない。一方、HTLV-I感染T細胞株がカベオリン-1を高発現していることが1998年に報告されたが、その後の解析は行われていない。本研究目的は、HTLV-I感染T細胞におけるカベオリンの発現制御機構と発癌における役割をTaxとの関連を含めて明らかにすることである。今年度、HTLV-I感染T細胞株がカベオリン-1をmRNAレベルで高発現していることを確認した。さらに、ATL患者末梢血白血病細胞でもカベオリン-1mRNAの発現が観察された。非感染T細胞株とマイトマイシンC処理後のHTLV-1感染T細胞株を共培養し、非感染T細胞株にHTLV-1を感染させると、カベオリン-1mRNAの発現が誘導された。さらに、Taxがカベオリン-1mRNA発現を誘導することも見出した。また、カベオリン-2発現に関しても検討したが、Taxによる発現誘導やATL細胞特異的な発現は見いだされなかった。カベオリン-1によるNF-κB活性化の報告もあるため検討したが、T細胞ではNF-κB活性化への関与はなかった。
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Research Products
(32 results)