2009 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚におけるarteminの発現機構とその分子生理学的役割の検討
Project/Area Number |
19591304
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
室田 浩之 Osaka University, 医学系研究科, 助教 (90363499)
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Keywords | 皮膚生理学 |
Research Abstract |
神経栄養因子arteminの皮膚における発現と機能の解析を行った。 1) GFRa3KOマウスにおけるcompound48/80誘導性掻破行動欠失の原因解明 皮膚における肥満細胞の有無をトルイジンブルー染色によるメタクロマジーで検証した。GFRa3KOマウスは野生型と同様の数と分布を示した。末梢神経におけるヒスタミン受容体の発現は適切な抗体がなく検証できなかった。ヒスタミン皮内注射したが、野生型とGFRaKOマウスの間に掻破行動の差は認められなかった。このことから肥満細胞の数、ヒスタミンに対する応答性においてGFRa3KOマウスで確認できなかった。GFRa3は他のメカニズムでcompound48/80による?痒誘発に関与していると考えられた。痒みに対する新規治療介入ポイントを絞り込む上において重要なヒントをもたらした。 2) Arteminを標的とした痒み治療の検証 Compound48/80、ヒスタミン、サブスタンスPを皮内注射し生じる掻破行動がartemin中和抗体で抑制できるかどうかをビデオ撮影による掻破行動の解析を用いて検証した。Artemin中和抗体,あるいはgoat IgGsを1、10ug皮下注射したのちにcompound48/80等を皮下注射し、掻破行動を観察した。Artemin中和抗体はcompound48/80による掻破行動を有意に抑制した。肥満細胞の脱顆粒によって誘発される?痒の抑制にarteminを標的とした介入が可能であろうと思われた。 3) arteminが皮膚末梢神経支配に与える影響の解析 野生型マウスおよびGFRa3KOマウスの足底に0.2uMのarteminあるいは1×10-4MのサブスタンスPを1週間に3回、2週間投与し、皮膚における神経支配をPGP9.5およびサブスタンスPの免疫染色で検証した。予想された通り、野生型マウスではarteminを投与した結果、皮膚末梢神経のsproutingが確認され表皮内への神経伸長が認められた。ところがGFRa3KOにarteminを投与したところ、真皮での支配神経の数は減少し、表皮への神経伸長がみとめられなかった。初代培養表皮細胞を使ったin vitroの検証でArteminは表皮細胞に作用し軸索ガイダンス分子semaphorin3Aの発現に影響を与えていることが明らかになった。神経伸長の新しい機序がこの検討により確認された。
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Research Products
(6 results)