2008 Fiscal Year Annual Research Report
表皮角化細胞のエピジェネティクス制御とその機能異常
Project/Area Number |
19591309
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
久保 宜明 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (10260069)
|
Keywords | 表皮角化細胞 / エピジェネティクス / 有棘細胞癌 / 日光角化症 / 癌細胞 / 細胞老化 |
Research Abstract |
癌遺伝子のジェネティクやエピジェネティクな活性化による細胞の腫瘍化に対する生体の防御機構としてセネッセンス(細胞老化)が知られている。近年、その制御機構にヒストンのリン酸化などの複数のエピジェネティクな制御機構が関与することが明らかになってきた。表皮角化細胞の腫瘍化におけるセネッセンス制御機構の関与を調べるため、皮膚癌である有棘細胞癌や基底細胞癌、表皮内癌であるボーエン病や日光角化症においてセネッセンスのマーカーである抗γ-H2AX抗体を用いて免疫組織学的検索を行った。 γ-H2AXが中〜高発現している症例は、有棘細胞癌20例中8例、基底細胞癌20例中2例、ボーエン病20例中3例に対し、日光角化症20例中17例であった。日光角化症においてのみ高頻度にセネッセンスが認められ、他の皮膚腫瘍と比べ統計学的に有意な差があった。長年の日光暴露とセネッセンスの関連が考えられ、日光角化症から有棘細胞癌への進展には何らかの脱セネッセンス機構が関与していることが示唆された。 また、癌遺伝子の1つの候補として線維芽細胞増殖因子受容体3(FGFR3)のエピジェネティクな活性化を抗FGFR3抗体による免疫染色で検討した。日光角化症においてFGFR3の中〜高発現している症例は10例中3例に過ぎず、表皮角化細胞由来の一般的な皮膚腫瘍である脂漏性角化症と同様に、日光角化症においもセネッセンスとFGFR3のエピジェネティクな活性化は相関しないことがわかった。
|
Research Products
(2 results)