2008 Fiscal Year Annual Research Report
日本人アトピー性皮膚炎におけるフィラグリン遺伝子異常の解析
Project/Area Number |
19591324
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
深井 和吉 Osaka City University, 大学院・医学研究科, 准教授 (20244642)
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / フィラグリン / 尋常性魚鱗癬 / 遺伝子変異 |
Research Abstract |
アトピー性皮膚炎の原因遺伝子研究としてのゲノムスキャンで同定されたlq21という場所には、皮膚の角化に関連した遺伝子が数十個集まって存在します。そのうちの一つであるフィラグリンは、尋常性魚鱗癬の原因遺伝子であることが推測されていました。スコットランドのMcLeanらのグループが、尋常性魚鱗癬がフィラグリン遺伝子の病的変異で生じることを証明しました。さらに同じ病的変異が、アトピー性皮膚炎患者に普通に認められることをNature Geneticsに発表しました。これらの2つの病的変異は、白人にのみ認められ、モンゴロイドや黒人には認められないと書いています。そこで、私は日本人アトピー性皮膚炎患者における、フィラグリン遺伝子の変異解析を行うことにいたしました。フィラグリン遺伝子のエクソン3は大きさが10キロ塩基ほどあるので、全体を一度に増幅することができません。部分的に分解して増幅することを通常では行うことになりますが、10回以上の繰り返し配列があるために、部分的PCR増幅は不可能です。したがって、972塩基の繰り返し配列そのものを、PCRで増幅し、それをTA-cloning vectorにクローニングし、おのおののクローンをシークエンスいたしました。 日本人アトピー性皮膚炎の患者について、フィラグリン遺伝子変異解析を行い、新しく4種類のナンセンス変異を同定した。それらはQ835X(2503C>T),possibly Q3122X(9364C>T),R1998X(5992A>T),probably G2200X(6598G>T)であった。日本人アトピー性皮膚炎患者において、フィラグリン遺伝子変異は高頻度(26%)に見られることが明らかとなった。今回の研究により、フィラグリンは日本人アトピー性皮膚炎患者の原因遺伝子として、極めて重要なものであることが明らかとなった。
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Research Products
(14 results)