2008 Fiscal Year Annual Research Report
色素性乾皮症フェノタイプ多様性と酸化的DNA損傷修復能との関連に関する研究
Project/Area Number |
19591332
|
Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
森脇 真一 Osaka Medical College, 医学部, 准教授 (40303565)
|
Keywords | 色素性乾皮 / 紫外線 / DNA損傷 / 活性酸素 |
Research Abstract |
我々は近年、酸化的DNA損傷の蓄積が色素性乾皮症(XP)の臨床症状の多様化にも関与しているのではないかという仮説のもと、酸化的DNA損傷の修復能(塩基除去修復能base excision repair;BER)を定量化するシステムを確立した。まずローズベンガル処理と可視光線照射により人工的に酸化的DNA損傷のひとつである8OHdGをレポータープラスミド(ルシフェラーゼ発現プラスミド)に誘発し、その損傷プラスミドを色素性乾皮症などの患者由来線維芽細胞に導入する。その後宿主細胞回復能を指標にして、各細胞における酸化的DNA損傷の修復能力(DNA repair capacity;DRC)を算出した。その結果、ほとんどの重症XPA患者由来細胞(8/10症例)でDRCの有意な低下を認め、その低下はXPA遺伝子導入により軽度だが有意に回復した。さらにXPA細胞におけるDRC値は臨床的重症度、XPA遺伝子変異と関連性がみられた。XPC細胞では1/3例、XPD細胞は5/6例、XPF細胞は3/5例、XPG細胞では2/2例、XPV細胞では2/6例にDRCの低下をみたがXP各群間には差がみられなかった。XPF遺伝子導入では低下したXPF細胞のDRCの回復はみられなかった。A群以外のXPにおいてはDRCと臨床的重症度との関係は見いだせなかったが、この点については患者の現年齢、XP確定診断年齢、遮光開始時期、遮光の程度などを加味して再考する必要がある。 今回の結果は、(1)これまでNER特異的と言われていたXPA因子がNERにのみならずBERにも関わっている可能性、(2)XP細胞のBER機能は様々であり低下している症例も多く存在する、(3)XPの臨床的多様性にBER機能が関与している可能性を示唆する。
|