2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19591334
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
泉 剛 Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 助教 (60312360)
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Keywords | 精神薬理学 / 不安 |
Research Abstract |
(1)恐怖条件付けストレスの負荷により、扁桃体基底核において異的に細胞活性化のでるCREBのリン酸化亢進および転写因子c-Fosの発現増加が認められた。神経細胞特異的マーカーとの二重染色によって、リン酸CREB陽性細胞は約8割がグルタメートニューロンであり、残りはGABAニューロンであることが確認された。それに対し、c-Fos陽性細胞はその大部分がグルタメートニューロンであった。細胞内情報伝達系において、CREBはc-Fosよりも上流に存在するため、不安によって活性化される扁桃体基底核GABAニューロンでは、CREBの下流に存在するc-Fos以外の転写因子の発現増加が起きていることが示唆された。 (2)前年度までに測定法を確立した、嗅周囲皮質刺激による扁桃体基底核誘発電位に対し、SSRIであるfluvoxamineと、ベンゾジアゼピン系抗不安薬であるdiazepamのを投与を試みた。fluvoxamine投与によって扁桃体基底核誘発電位は有意に増強したが、diazepamの投与では不変であった。扁桃体基底核での5-HT神経伝達増強によって、同部位のシナプス伝達効率が増加し、不安を抑制する何らかの神経機構が働いていることが示唆された。 (3)内側前頭前野に投射している5-HT神経終末を、5-HT神経毒である5, 7-DHTの局所投与により破壊し、恐怖条件付けストレスの発現および消去に対する影響を検討した。破壊の効果はHPLCによる組織内5-HT含量測定によりした。内側前頭前野背側で十分な5-HT神経終末破壊を確認したが、恐怖条件付けの発現および消去に対する影響は認められなかった。これより、内側前頭前野背側部の5-HT神経は、恐怖条件付けの発現および消去に関与していないことが示唆された。
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Research Products
(4 results)