2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19591357
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
上野 修一 The University of Tokushima, 医学部, 教授 (80232768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 哲郎 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (00221135)
沼田 周助 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (10403726)
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Keywords | うつ病 / 統合失調症 / 遺伝子発現解析 / 遺伝子関連解析 / HDAC5 / CREB / VEGF / TGFBR2 |
Research Abstract |
多くの精神疾患は、精神症状に加え、自律神経症状などの身体症状を伴うため、脳で起こっている遺伝子発現の変化を、末梢を循環している白血球の遺伝子発現を調べることによって推測できると考えている。今回、統合失調症およびうつ病での末梢血白血球遺伝子発現および遺伝子関連解析を行った。うつ病では、Histone deacetylase 5(HDAC5)およびcyclic AMP response element-binding protein 1(CREB)、vascular endothelial growth factor (VEGF)遺伝子について検討し、統合失調症では、昨年うつ病で検討し報告したPDLIM5、免疫に関連するTransforming growth factor-beta receptor 2(TGFBR2)遺伝子について検討した。それぞれ治療前患者末梢血白血球から抽出したmRNA分画を性、年齢の一致した健常対照群と比較した。その結果、うつ病群の末梢血白血球でのHDAC5およびCREB遺伝子mRNA発現量は、健常対照群と比較して上昇しており、抗うつ薬で治療後には、健常対照群と同等の発現量に回復した。VEGFmRNAも増加していたが、治療後に発現量は変化せず、関連解析でも有意な差はなかった。一方、統合失調症群末梢血白血球PDLIM5遺伝子mRNA発現量は、うつ病とは異なり、未治療では増加しており、慢性期では低下することが確認された。末梢血白血球のTGFBR2遺伝子発現量は、健常対照者に比較し、統合失調症では増加し、うつ病で変化が見られないことと異なっていた。PDLIM5とTGFBR2遺伝子の統合失調症との関連解析では、有意な相関は確認できなかった。以上から、末梢血白血球遺伝子発現を検討することで、精神障害の病態に接近できる可能性が確認された。
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Research Products
(4 results)