2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19591357
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
上野 修一 Ehime University, 大学院・医学系研究科, 教授 (80232768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 哲郎 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (00221135)
沼田 周助 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (10403726)
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Keywords | 統合失調症 / うつ病 / 末梢血白血球 / mRNA発現解析 / 疾患対照関連解析 / PDE4B遺伝子 / PCNT2遺伝子 / 性周期 |
Research Abstract |
遺伝子変化に注目し、機能性精神障害の生物学的指標を明らかにする目的でreal-time PCR法を用いて、末梢血白血球で発現しているmRNA量の測定、疾患対照相関解析を行った。PDE4B (phosphodiesterase4B)遺伝子は、家系解析から精神障害との報告があること、すでに精神障害関連遺伝子として報告のあるDISC1(disrupted in schizophrenia1)遺伝子と結合し、細胞内のcAMP量を調節すること、PDE4B阻害薬rolipramが精神症状を改善することなどから精神障害に関わる因子であることが推定され、末梢血白血球でmRNAが発現していることも分かっている。うつ病患者と健常対照者での末梢血白血球でのPDE4BmRNA発現量を比較し、うつ病の状態像と関連することを見出した。しかし、PDE4B遺伝子の疾患対照相関解析では有意な差は確認できず、うつ病の状態像を示すマーカーであると予想された。一方、統合失調症では、疾患対照相関解析からとPDE4B遺伝子の間には有意な相関がみられ、統合失調症の脆弱生を表す遺伝子マーカーと考えられた、DISC1遺伝子に結合する別のタンパク質PCNT2の末梢血白血球遺伝子発現は、うつ病患者の末梢血白血球で増加していることが報告されているため、PCNT2遺伝子とうつ病の疾患対照研究を行ったところ、うつ病とPCNT2遺伝子の間に有意な相関を見出し、うつ病の脆弱性遺伝子マーカーと考えられた。また、女性において、月経前症候群に関連する状態像マーカーとして、セロトニントランスポーター遺伝子、COMT遺伝子に注目して末梢血の遺伝子発現量を、健常対照者で性周期に合わせ解析したが、性周期に一致した発現量の変化は認められず、これらの遺伝子発現は性周期の影響を受けないと確認された。
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