2008 Fiscal Year Annual Research Report
プレパルスインヒビションを利用した健忘型軽度認知障害の診断法の開発
Project/Area Number |
19591382
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Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
植木 昭紀 Hyogo College of Medicine, 医学部, 准教授 (30203425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯 博行 兵庫医療大学, 共通教育センター, 教授 (80068585)
佐藤 典子 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (40514823)
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Keywords | 痴呆(認知症) / 脳神経疾患 / 脳・神経 / 老化 |
Research Abstract |
突然に起こる強い聴覚刺激(P)は驚愕反応(S)を引き起こすが、それに先行して弱い聴覚刺激(PP)を付加するとSが抑制される現象をプレパルスインヒビション(PPI)という。脊椎動物にみられる普遍的現象で情報処理、思考や認知の関与が示唆されている。本研究では軽度アルツハイマー型認知症(DAT)におけるPPIと認知機能の関係を検討した。【方法】軽度DATはNINCDS-ADRDAのprobable Alzheimer's diseaseの基準を満たしFAST4、MMSE18-23点、未治療である。対照(C)は精神神経疾患の罹患、家族歴のないMMSE24点以上の初老期、老年期の健常者である。聴力に異常はない。認知機能の評価としてWAIS-RをPPIの測定前に実施した。115dB、50msecの白色雑音Pによって惹起された体動の最大振幅を装着した振動センサーで測定しS強度とした。PPIの測定には85dB、30msecのPPを50msec先行付加した。100-(PP付加時S強度÷P時S強度)×100をPPIの指標とした。【結果】軽度DATは男82名、女38名、73.3±7.4歳、Cは男18名、女27名、71.6±10.3歳で、性別、年齢、教育年数、P時のS強度に有意差はなかった。軽度DATではPPIの指標とWAIS-R全検査IQ(FIQ)の間に有意の逆相関(r=-0.403)、Cでは順相関(r=0.653)がみられた。FIQ101以上、MMSE22、23点の軽度DAT19名ではPPIが出現せず、FIQが101以上の35名のCとの判別が可能であった。【考察】DATの早期から内嗅皮質に神経病理学的変化が出現するが、私たちは内嗅皮質の破壊がPPIを制御する辺縁系、側坐核、橋を巡る回路に影響することを報告している。非常に軽度のDATを診断する上でPPIは簡便に得られる有用な生物学的指標となる可能性がある。
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Research Products
(4 results)