2007 Fiscal Year Annual Research Report
社会性に関連する脳内分子の遺伝/環境相互作用メカニズムの解明
Project/Area Number |
19591388
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
横山 ちひろ The Institute of Physical and Chemical Research, 分子プローブ機能評価研究チーム, 研究員 (90264754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村山 美穂 岐阜大学, 応用生物学部, 助教授 (60293552)
田原 強 独立行政法人理化学研究所, 分子プローブ機能評価研究チーム, 研究員 (20419708)
尾上 浩隆 独立行政法人理化学研究所, 分子プローブ機能評価研究チーム, チームリーダー (80214196)
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Keywords | コモンマーモセット / 社会性 / 遺伝子多型 / 脳分子イメージング / セロトニン / 親子分離 / 個体間コミュニケーション / 利他的行動 |
Research Abstract |
本研究の目的は、マーモセットを用いて社会性行動における遺伝子/環境-行動連関の分子基盤を明らかにすることであり、本年度は以下の研究成果を得た。 I.マーモセット遺伝子型と分子機能に関する表現型 社会性に関連する分子についてマーモセットの遺伝子多型を検索し、現在までに、ドパミンD4受容体DRD4モノアミン代謝酵素MAOA、バソプレシン受容体AVPR1aの遺伝子多型を確認した。また、microPETによるマーモセット脳分子イメージングのための無麻酔下のPET撮像方法を確立した。現在[11C]DASB、[11C]VORを用いてそれぞれセロトニントランスポーター、エストロゲン合成酵素の脳内局在活性を調査中である。 II.マーモセットの社会性行動に関する表現型 各個体に「対面テスト」および「擬似対面テスト」を課し、行動および発声パターンを解析することにより個体間コミュニケーションに基づく社会性行動の定量化を試みた。擬似対面時においては対面個体を観察する時間は有意に増加するとともに"contact call"に分類される発声数が減少した。また擬似対面の有無によらず"distress call"に分類される発声数は隔離された時間経過に依存して減少することがわかった。また霊長類のなかでもヒトとマーモセットを含む新世界サルにのみ認められる「利他的行動」を検査するオペラント装置を作成し、共同志向性に基づく社会性行動の定量化にむけて実験を開始した。 III.マーモセットの遺伝/環境要因相互作用 マーモセットの繁殖飼育をルーチン化させ、一部の個体は発達期における社会的環境の剥奪条件として人工哺育(親子分離)にて飼育した。尿中コルチゾール量に差はなく、ストレス負荷とは異なる社会的環境剥奪条件としてこのモデルが有効であることが確認された。遺伝子型決定用の血液サンプルを採取し、発達期の各段階において「擬似対面テスト」および「利他的行動テスト」の行動実験を開始した。
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Research Products
(1 results)