2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19591525
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Research Institution | Radiation Effects Research Foundation |
Principal Investigator |
濱谷 清裕 Radiation Effects Research Foundation, 放射線生物学/分子疫学部, 細胞生物学研究室長 (80344414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 玲子 財団法人放射線影響研究所, 放射線生物学/分子疫学部, 研究員 (30283790)
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Keywords | 染色体再配列 / RET / PTC再配列 / 点突然変異 / BRAF点突然変異 / 放射線関連成人甲状腺乳頭がん / 原爆被爆者 |
Research Abstract |
放射線被曝の甲状腺乳頭発がんに及ぼす影響を明らかにするために、原爆被爆者に発生した甲状腺乳頭がん73症例(非被爆者21症例を含む)について、RET、NTRK1及びBRAF遺伝子の再配列、並びにRAS及びBRAF遺伝子の点突然変異の解析を行なった。被爆甲状腺乳頭がん52症例中、RET/PTC再配列が11例、NTRK1再配列が1例、BRAF点突然変異が28例検出されたが、RAS点突然変異とBRAF再配列は検出されなかった。甲状腺乳頭がん症例を染色体再配列、点突然変異及び他の未知の遺伝子変異を持つ3つのグループに分けたとき、これらグループの放射線量に対する反応はグループ間で異なった。すなわち染色体再配列は放射線量が高くなると相対頻度が有意に増加するのに対し、点突然変異は放射線量が高くなると有意な相対頻度の減少を示した。これらの結果は、放射線関連成人甲状腺乳頭がんにおける染色体再配列、特にRET/PTC再配列の役割の重要性を示す。一方、他の未知の遺伝子変異を有するがん症例は放射線量が高くなるとその相対頻度が高くなる傾向が見られること、また被曝から発症までの期間が短い症例(20年以下)で有意に高かっか。このことは、RET及びNTRK1再配列以外の遺伝子変異も放射線関連成人甲状腺乳頭がんに関与することを示唆しており、その遺伝子変異を明らかにすることは放射線甲状腺乳頭発がんの機序を理解する上で極めて重要である。 in vitroの系を用いてRET/PTC再配列の放射線関連甲状腺乳頭発がんにおける生物学的役割を検討するために、マウス甲状腺細胞の初代培養系を確立し、さらにRET/PTC1、及び変異BRAFを組み込んだ発現ベクターを作製した。また我々が被爆者甲状腺乳頭がんで発見した新規のRET再配列(ACBD5-RETキメラ遺伝子)についても発現ベクターを作製した。
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Research Products
(8 results)