2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19591525
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Research Institution | Radiation Effects Research Foundation |
Principal Investigator |
濱谷 清裕 Radiation Effects Research Foundation, 放射線生物学/分子疫学部, 細胞生物学研究室長 (80344414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 玲子 財団法人放射線影響研究所, 放射線生物学/分子疫学部, 研究員 (30283790)
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Keywords | 染色体再配列 / RET / PTC再配列 / ALK遺伝子再配列 / BRAF点突然変異 / 放射線関連成人甲状腺乳頭がん / 原爆被爆者 |
Research Abstract |
放射線関連成人甲状腺乳頭発がんの分子特性を明らかにするために、昨年度までに原爆被爆者に発生した成人甲状腺乳頭がん73症例(52症例の放射線被曝者と21症例の非被曝者)の解析よりRET/PTC再配列と被曝線量との有意な正の関連を明らかにした。今年度新たに32症例について分子腫瘍学的解析を行った。計105症例(79症例の放射線被曝者と26症例の非被曝者)の甲状腺乳頭がんの分子解析より、染色体再配列(主にRET/PTC再配列)が成人発症放射線関連甲状腺乳頭がんと密接に関連すること、また、RET、NTRK1およびBRAF遺伝子再配列並びにBRAF及びRAS遺伝子点突然変異のいずれの変異も持たない症例は被曝線量と共にその頻度が増加する傾向を見出した。高線量被曝者甲状腺乳頭がんで発見した新規のRET再配列(ACBD5-RETキメラ遺伝子)は他のRET/PTC再配列同様、二量体を形成し、MAPキナーゼ(ERK1, ERK2)のリン酸化を更新させること、また造腫瘍能を持つことを明らかにした。さらに、遺伝子変異が未同定の被曝甲状腺乳頭がん症例の一部に、これまで甲状腺がんでは報告されていなかった未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)遺伝子の再配列を見出した。非被曝甲状腺乳頭がん症例ではこの変異は検出されなかった。このことより、ALK再配列は放射線関連甲状腺乳頭がんにおける新たな重要な遺伝子変異である可能性が示唆された。 RET/PTC再配列の放射線関連甲状腺乳頭発がんにおける生物学的役割を検討するために、マウス甲状腺初代培養細胞へRET/PTC1発現ベクターの導入をリポフェクション法により行った。EGFP蛍光マーカーより、リポフェクション法でマウス甲状腺初代培養への遺伝子導入が可能であることが判明したが、高い増殖性を示す安定なトランスフォーマントを得ることは出来なかった。
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Research Products
(7 results)