2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19591668
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
森泉 哲次 Shinshu University, 医学部, 教授 (70157874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 菜奈恵 信州大学, 医学部, 助教 (90334888)
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Keywords | 再生医学 / 神経科学 / 脳神経 / 嗅神経 / 嗅覚伝導路 / 外側嗅索 / 投射ニューロン / 僧帽細胞 |
Research Abstract |
(1) 脳内嗅覚伝導路(外側嗅索)切断による嗅球投射ニューロン(僧帽細胞)の細胞死の検討:新生児ラットの外側嗅索を切断後、神経トレーサーを嗅皮質に注入し、さらに同側の嗅神経入力を遮断し、1週間生存させ、細胞核を有する僧帽細胞数を計測した。神経トレーサーで外側嗅索が完全に切断されていることが確認された2ケースについて、僧帽細胞数を計測した。切断側の総僧帽細胞数は7036&8549で、総僧帽細胞層の長さは87.9&71.4mmで、単位長さ(mm)あたりの僧帽細胞数は80&120であった。これに対して、非切断側の総僧帽細胞数は7477&9279で、総僧帽細胞層の長さは87.2&84.0mmで、単位長さ(mm)あたりの僧帽細胞数は86&110であった。非切断側を100%とすると、切断側は101%(93%&108%)であった。新生児ラットの嗅神経入力遮断と同時に外側嗅索を完全に切断しても、僧帽細胞の細胞死はおこらないと結論された(4週間生存例も検索中)。 (2)外側嗅索切断10ケ月後の自然再生の検討:新生児ラットの外側嗅索を切断し、10ヶ月間生存させ、神経トレーサーを嗅皮質に注入した。1/3のケースは、外側嗅索が正常で、神経トレーサー陽性の僧帽細胞が多数観察され、外側嗅索に損傷が及んでいなかった。1/3のケースは、外側嗅索がわずかに形成され、神経トレーサー陽性の僧帽細胞も少数観察され、不完全切断であった。1/3のケースは、外側嗅索の形成はなく、神経トレーサー陽性の僧帽細胞はまったく観察されず、完全切断であった。新生児ラットの外側嗅索が完全に切断された場合は、10ヶ月たっても、自然再生は起こらないと結論された。自然再生がおこるという1997年の論文は、新生時期の外側嗅索の切断が不完全である可能性が極めて高いものと考えられた。今後は、軸索標識による切断部における再生軸索の有無の検索を行う。また、程度の異なる損傷を外側嗅索に加えて、外側嗅索損傷の程度と外側嗅索の形成の程度並びに嗅覚機能との相関を追及する。さらに、神経移植による外側嗅索の再生を追及したい。
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