2008 Fiscal Year Annual Research Report
一期的自家細切軟骨移植と間葉系幹細胞移植を組み合わせた新しい関節軟骨修復法の開発
Project/Area Number |
19591750
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中川 晃一 Chiba University, 大学院・医学研究院, 助教 (30400823)
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Keywords | 幹細胞 / 滑膜細胞 / 細切軟骨 / 移植 / 軟骨分化 |
Research Abstract |
(目的)関節軟骨欠損に対する従来の細胞移植術は、2回の手術と体外での細胞培養を要し、コスト面、安全面から臨床応用が制限されている。本年度は、体外での培養を行わない新しい移植法の開発を目指し、細切軟骨片と非培養分離滑膜細胞の同時移植が、滑膜細胞の軟骨分化に与える影響を検討した。(方法)白色家兎より血液と関節軟骨および滑膜を採取して実験に使用した。滑膜細胞は1時間酵素処理にて分離し、PKH26キットで細胞標識後、フィブリンゲル内に包埋した。滑膜細胞のみを含むSC群、細切軟骨片と滑膜細胞を含むAC+SC群、細胞を含まないNC群を作製してヌードマウスの皮下に移植した。移植後1週および2週で移植片を摘出、AS+SC群では二つの層に切り、軟骨片を含む側をpositive controlとした。評価として、組織学的検討、DNA含有量およびプロテオグリカン(PG)含有量の測定、II型コラーゲンおよびSox9の発現量測定を行った。(結果)Safranin-0染色にて、AS+SC群では、SC群と比べてより強く染色される傾向を認めた。蛍光標識された滑膜細胞の局在は、染色陽性部位と一致しており、移植滑膜細胞が軟骨様細胞に分化していることが示された。AC+SC群における組織重量あたりのDNAおよびPG含有量は、SC群と比較して有意に高値を示した。II型コラーゲンおよびSox9の発現もSC群と比較してAC+SC群で有意に充進していた。(考察)軟骨組織修復に間葉系幹細胞を利用する際には、より効果的に軟骨細胞に分化させることが重要である。本研究の結果より、細切軟骨片とともに移植した滑膜細胞は、軟骨片からの刺激により軟骨様細胞への分化が促進されたと考えられた。この結果を応用し、細切軟骨片と非培養滑膜細胞を同時に含む移植片を作製することで、新しい一期的な関節軟骨修復法を確立できる可能性がある。
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Research Products
(5 results)