2007 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病におけるAGEs蓄積が軟骨変性に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
19591759
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
廣瀬 隼 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 助教 (40433007)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水田 博志 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (60174025)
鬼木 泰成 熊本大学, 医学部附属病院, 医員 (20423684)
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Keywords | 変形性関節症 / 糖尿病 / 糖化最終産物(AGEs) / receptor for AGEs (RAGE) |
Research Abstract |
本研究は、変形性関節症と糖尿病との関係をAGEsに注目して評価することが目的である。平成19年度は、非肥満II型糖尿病モデルであるGKラットを用いて、5週齢と20週齢の関節軟骨内に蓄積するAGEsとRAGEの発現が軟骨基質代謝に及ぼす影響について同週齢のWistarラットと比較検討した。 1.血液生化学的検討では、GKラットの血糖値は20週齢で317mg/dl(Wistarラット174mg/dl)と中程度の高血糖状態を呈したが、肥満と脂質代謝異常は認めなかった。 2.AGEs(pentosidine,CML)、RAGE、MMP-13、Asporin、CILPの特異抗体を用いた関節軟骨の免疫組織学的検討では、GKラットとWistarラットで明らかな差はなかった。 3.関節軟骨のAGEs蓄積量は、HPLCで微量検出されたが、Western Blot法では検出されず、AsporinとCILPの蛋白発現も確認されなかった。 4.関節軟骨の細胞培養において、GKラットではWistarラットに比べてMMP-13のmRNA発現が亢進していた。また培養液にAGEsや抗RAGE抗体を添加することで、GKラットではCILPのmRNA発現が亢進した。蛋白レベルでは上記刺激により、CILP、RAGE、MMP-13の産生量が両群とも増加したが、刺激に対する反応性はGKラットの軟骨細胞が正常ラットに比べて低かった。 以上の結果より、GKラットとWistarラットで関節軟骨のAGEs蓄積に差はなかったが、軟骨細胞培養の実験では、刺激に対する細胞の反応性が両群で異なることが確認された。しかし今回の結果では変形性関節症と糖尿病との関連性の評価には不十分であるため、さらなる検討が必要である。
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