2008 Fiscal Year Annual Research Report
心筋虚血時に細胞外に蓄積するKイオンは、細胞内Caイオンの上昇を抑制するか
Project/Area Number |
19591801
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
大下 修造 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (60144945)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富山 芳信 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 准教授 (30243702)
田中 克哉 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (30263841)
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Keywords | 高カリウム血症 / 心筋虚血 / 細胞内カルシウム / Na-Kポンプ活性 |
Research Abstract |
心筋虚血時に細胞外に蓄積するカリウムイオン(K)はNa-Kポンプ活性を促進することを介して、細胞内カルシウムイオン濃度([Ca]i)の上昇を抑制することにより、心筋を保護するように作用している可能性がある。培養新生児ラット心筋細胞を用いて心筋虚血類似状態が拡張期[Ca]i上昇に及ぼす影響についてCa感受性色素であるfluo-4を用いて検討を行った。ランダムにコントロール群、高K(2mM)群、虚血(シアン化ナトリウム:5mM+デオキシグルコース:5.5mM)群、ウアバイン群(100μM)、虚血+高K群、虚血+ウアバイン群、虚血+高K+ウアバイン群の7群に分けた。測定は5分毎に露光時間334ms、500ms間隔で30回ずつ行った。fluo-4蛍光は操作直前の値を100%として相対値で評価した。操作前に、リズミカルに蛍光が変動している関心部位を3-7部位選び、拡張期と思われる値で評価した。拡張期[Ca]i上昇に関して、高Kならびにウアバイン単独では有意の上昇を認めなかったが虚血により有意の上昇を認めた。高K状態では虚血による上昇が抑えられた。ウアバイン存在下では虚血による上昇が促進された。高K状態ではウアバイン存在下でも、上昇は抑えられ、虚血+高K状態とほぼ同等の上昇であった。以上の結果から心筋虚血時に細胞外に蓄積するKは、[Ca]iの上昇を抑制することが示唆された。Na-Kポンプ活性の抑制は上昇を促進するが、高K状態の保護作用はNa-Kポンプ活性の抑制下でも認められた。細胞外Kの上昇は心筋保護に有利に働くことが示唆されたが、Na-Kポンプ活性を介する機々に関しては否定的である。なお、Na-Kポンプ活性の抑制は、内因性ジギタリス物質の増加などにより抑制される。そのような状況でもKの上昇が[Ca]iの上昇を抑制することが解明されたことは臨床上重要である。
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