2007 Fiscal Year Annual Research Report
アンジオテンシン2による酸化ストレスが前立腺癌発生に及ぼす影響ついての解析
Project/Area Number |
19591865
|
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
上村 博司 Yokohama City University, 附属病院, 准教授 (50244439)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窪田 吉信 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (10106312)
|
Keywords | 前立腺癌 / アンジオテンシン2 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
最近、前立腺癌を含め多くの癌の発生に炎症が関わっていることが提唱されている。炎症の分子メカニズムとして酸化ストレスがあり、前立腺癌の発生や進展にも酸化ストレスが関与している可能性が推測されている。この研究では、我々が以前より解明してきたアンジオテンシンII(Ang-II)の前立腺癌に及ぼす機能のうち、Ang-IIがもつ酸化ストレス作用に注目し、前立腺癌発生への関与の可能性について解析した。まず、前立腺癌細胞のLNCaP細胞にアンジオテンシンIIレセプター受容体プロッカー(ARB)であるテルミサルタンを投与すると、PSA産生が抑制されることが分かった。そのメカニズムとして考えられたのは、テルミサルタンは分子構造上PPARgのリガンド作用のあるtroglitazoneに類似しており、その結果アンドロゲン作用をブロックすることが推測された。実際に、細胞をアンドロゲンで刺激して同時にテルミサルタンを加えると、PSA蛋白の発現は抑制され、プロモータアッセイの結果ではPSAプロモータの促進を抑制することが証明された。また、アンジオテンシンIIが前立腺癌細胞に酸化ストレスを加えるかどうかを調べた。その結果、Ang-II刺激によって酸化ストレス関連タンパクのSODなどの発現が促進され、酸化ストレス発生じ発現する80HdGも産生されることが分かった。これらは、ARBで抑制された。さらに、酸化ストレスでDNAダメージが起こることを、p53やCDC2のリン酸化でみると、Ang-II刺激でLNCaP細胞で起きていることが分かった。これらの研究結果から、in vitroの実験であるが、Ang-IIが酸化ストレスを誘発して前立腺癌の発生に関与している可能性が示唆された。
|
Research Products
(7 results)