2008 Fiscal Year Annual Research Report
Androgenの生殖器以外の作用に関する臨床的研究
Project/Area Number |
19591882
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
小林 皇 Sapporo Medical University, 医学部, 研究員 (30404669)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舛森 直哉 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (20295356)
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Keywords | 老化 / 男性ホルモン / メタボリック症候群 / 前立腺癌 / 骨粗しょう症 |
Research Abstract |
本研究はアンドロゲンが各臓器にどのような作用を及ぼすかを、前立腺癌の内分泌治療によりテストステロンが去勢域にまで下がった治療群と対照群での各臓器に及ぼす作用を比較することによりその作用を臨床的に研究するものである。前立腺癌内分泌治療群は治療後、テストステロンが虚勢域まで低下していることが確認された。治療後の各パラメーターの変化を確認を行った。骨に関してはNTxやオステオリンクスなどの骨代謝マーカーでは、前立腺癌治療群で治療後6ヶ月で骨代謝が対照群に比較して亢進していることが認められた。しかし、骨密度の変化では6ヶ月目でも両群に明らかな差は認められなかった。これらのことより、Androgenの減少は骨に対しては代謝の亢進につながることが明らかとなったが、短期間では骨粗鬆症の発症のレベルまでは骨密度の減少はなかった。握力などの筋力には経過中に変化を認めなかった。メタボリック症候群で注目される物質のひとつであるアディポネクチンも経過中は両群に変化を認めなかった。脳に対する影響として、認知障害の有無をミニメンタルステート検査を行ったが経過中に両群とも変化は確認できず、認知能に対する影響は確認できなかった。このように、アンドロゲンの低下が早期より影響を及ばす臓器としては生殖器以外では骨が注目される結果であった。特に、骨代謝が亢進しており骨粗鬆症の発症とまでは行かないが、その後のアンドロゲンの低下状態が持続すれば注意が必要であると思われた。他の臓器では早期には大きな影響を認めなかった。しかし、長期的な作用があるかは今回の調査期間では不明であり、今後の研究課題であると思われた。
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