2008 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロキメリズムから見た妊娠と自己免疫疾患の関連ー分子遺伝学的アプローチー
Project/Area Number |
19591897
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中山 大介 Nagasaki University, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (50315248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増崎 英明 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (00173740)
三浦 清徳 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (00363490)
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Keywords | 母体血漿 / DNA / 自己免疫疾患 / Y染色体 / PCR / リアルタイムPCR / マイクロキメリズム / 全身性強皮症 |
Research Abstract |
目的:妊娠によって生じるマイクロキメリズム、すなわち母体循環に混入した胎児細胞と母体細胞から生じるキメラ細胞が自己免疫疾患に関連することが示唆されている。全身性強皮症合併妊娠では母体血漿中比較的多量の胎児DNAが認められることから、母体血漿中の胎児DNA量は妊娠に合併した自己免疫疾患の活動性を評価する分子マーカーとなり得る可能性がある。本研究では母体血中に存在する胎児・胎盤由来のDNA量がマイクロキメリズムを反映すると仮定し、その定量値が自己免疫疾患と関連するか否かを検討した。 方法:(1)男児を妊娠した既往のある自己免疫疾患患者(全身性強皮症、12例;その他、12例)を対象とした。輸血歴のある例は除いた。(2)血清中からcell-free DNA(cff-DNA)を抽出し、SRY遺伝子を標的としたPCRを行った。(3)TaqManプローブを用いたリアルタイムPCRを行い胎児由来のDNAを定量した。Y染色体上にあるSRYおよびDSY1遺伝子をPCRの標的とした。β-グロビン遺伝子を内部コントロールとした。 結果:(1)SRY遺伝子を標的としたPCRでは、全身性強皮症12例あるいはその他の自己免疫疾患12例どの例からもSRY遺伝子は増幅されなかった。(2)TaqManプローブを用いたリアルタイムPCRでは全身性強皮症患者5/12例(42%)、その他の自己免疫疾患患者0/12例(0%)においてDSY1プローブでY染色体に特異的なDNAを検出、定量化することができた。 結論:強皮症はその他の自己免疫疾患と比較してマイクロキメリズム関与の度合いが大きいことが示唆された。また今回SRYとDSY1とで検出感度が異なっていたことから、自己免疫疾患におけるマイクロキメリズムの検出には標的とする遺伝子領域およびプローブの選択が重要であると考えられた。
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Research Products
(9 results)