2008 Fiscal Year Annual Research Report
耳石欠損マウスを用いたAtp2b2遺伝子と加齢性平衡障害の解明
Project/Area Number |
19591960
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
野口 佳裕 Tokyo Medical and Dental University, 医学部附属病院, 講師 (50282752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 卓 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (40401400)
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Keywords | Atp2b2 / PMCA2 / 聴覚障害 / 平衡障害 / マウスモデル |
Research Abstract |
Wriggle Mouse Sagami(Wri)は、Atp2b2を原因遺伝子とする難聴・平衡障害マウスである。本年度の研究成果として、本マウスの聴覚機能を経時的に検討した。ホモ接合体(BALB-Atp2b2^<wri/wri>)の聴性脳幹反応検出閾値は、内耳が成熟する生後21日の段階ですでに高度難聴を示し、49日目まで変わらなかった。また、歪成分耳音響放射は生後21日の段階でノイズレベルまで低下していた。一方、ヘテロ接合体(BALB-Atp2b2<wri/+>)の聴性脳幹反応検出閾値は、生後21日の段階で70dB程度(16、32kHz)の難聴を認め、49日までに高度難聴となった。また、歪成分耳音響放射は生後21日、28日、35日、42日、49日のすべての時点でノイズレベルまで低下していた。野生型(BALB-Atp2b2<+/+>)の聴性脳幹反応検出閾値は、生後21日から49日の間、30dB(8kHz)、5-15dB(16、32kHz)の正常聴力を示した。また、歪成分耳音響放射も生後21日から49日の間、正常のDPレベルを示した。 その他の成果として、C57BL/6JJclの聴性脳幹反応検出閾値は10ヵ月以降に急速に上昇し、16ヵ月の時点で高度難聴を示すことが示された。一方、歪成分耳音響放射は生後2ヵ月以降に高音域からDPレベルが低下し、12ヵ月でノイズレベルに達した。C57BL/6Jは加齢性難聴のモデルマウスとして使用されているが、従来の報告より早期に難聴をきたすことが明らかになった。
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