2008 Fiscal Year Annual Research Report
蝸牛有毛細胞の感覚毛能動運動による音伝達機構増幅のメカニズム
Project/Area Number |
19591978
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
君付 隆 Kyushu University, 大学院・医学研究, 准教授 (50240908)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 希 九州大学, 大学病院, 助教 (60419596)
|
Keywords | 内耳 / 蝸牛 / 有毛細胞 / 細胞単離 / 感覚毛 |
Research Abstract |
内耳の"cochlea amplifier"の役割のひとつを担うとされている有毛細胞頂上部の感覚毛の能動的な運動を解明するのがこの研究の目的である。前年度は内有毛細胞の単離率を上昇させる工夫を行い、その収集率が上がった。本年度は、感覚毛の能動的な運動を起源とするトランスデューサー様電流に対する細胞外側あるは内側のCa2+イオンの影響を検討した。単離した内有毛細胞において感覚毛をフリースタンディングの状態とし-80mVの保持電位から+80mVのパルス状の脱分極刺激を与えると、脱分極による定常的な外向き電流と再分極による-過性の内向き電流(順応現象)が惹起された。電流波形の特徴により、感覚毛の能動的な運動を起源とするトランスデューサー様電流と考えられた。細胞外Ca2+濃度を1mMから2.5mMに変換すると、外向き電流値は減少し、内向き電流の減衰速度が増加した。逆に、1mMからOmMへ細胞外Ca2+濃度を減少させると、外向き電流値の増加と、内向き電流の減衰速度の減少を引き起こした。cAMPは細胞内Ca2+濃度を上昇させることが知られている。cAMPアゴニストである8-Br-cAMPを投与すると、外向き電流値は抑制され、内向き電流の順応速度を増加させた。これらの変化は、高Ca溶液の細胞外投与による変化と類似していた。上記のCa2+による変化は、感覚毛刺激により発生するトランスデューサー電流と一致する変化であり、観察されたトランスデューサー様電流が感覚毛の能動的な運動を起源とする可能性が強く示唆された。
|
Research Products
(6 results)