2008 Fiscal Year Annual Research Report
薬物誘発性歯肉肥大の発症と血中薬物濃度およびチトクロームP450遺伝子多型の関連
Project/Area Number |
19592350
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
秋山 茂久 Osaka University, 歯学部附属病院, 准教授 (00283797)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森崎 市治郎 大阪大学, 歯学部附属病院, 教授 (30116115)
村上 旬平 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (70362689)
|
Keywords | 歯肉肥大 / 抗てんかん薬 / 薬物代謝 / チトクロームP450 / 遺伝子多型 |
Research Abstract |
フェニトインは広く用いられている薬剤で,血中薬物濃度は副作用である歯肉肥大の程度に相関する.フェニトインの適正な血中薬物濃度の維持は困難で,投与量によって代謝が飽和状態となり急激な血中濃度の上昇を生じる.フェニトインはチトクロームP450(CYP)2C9と2C19という酵素により肝臓で代謝されるが,これらの酵素には遺伝子多型のあることが知られている.本研究では,特に抗てんかん薬フェニトイン服用者での,歯肉肥大の重症度と血中薬物濃度を調査し,薬物代謝に関与するチトクローム酵素の遺伝子多型との関連を検討した。 その結果,PHT投与量および血中濃度で、歯肉肥大重症度に対して正の相関関係は明確には認められなかった.これは口腔衛生状態とも密接に関係しており,血中濃度のみで重症度を予測することは困難であるが,徹底した口腔衛生管理が可能であれば,歯肉の増殖を軽度に抑えることが可能であると考えられる.これに関連して,CYP2C遺伝子多型保有者も歯肉肥大重症度に有意な相関を示さなかった.しかしCYP2C19*m2保有者はC/D比が有意に高くなることからCYP2C遺伝子多型の調査によりC/D比を予測することにより,重症度予測の指標となりうる可能性がある.PHT血中濃度と歯肉肥大発症には相関性があるという報告もあることから、PHT服用で歯肉胞大発症を予測する指標の一つとなるかもしれない.障害者では多剤多量の薬物を服用することが多く,薬物の相互作用または副作用は大きな問題であり,薬物代謝遺伝子多型は他の歯科疾患とも関係すると考えられ,さらなる研究を展開することで,歯科保健の向上に重要な意義をもつであろう.
|
Research Products
(10 results)