2008 Fiscal Year Annual Research Report
歯周疾患と全身疾患におけるフリーラジカルの相互連関の解明
Project/Area Number |
19592371
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
李 昌一 Kanagawa Dental College, 歯学部, 教授 (60220795)
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Keywords | 歯周疾患 / 酸化ストレス / フリーラジカル / 電子スピン共鳴(ESR)法 / 歯肉由来培養線維芽細 / サイトカイン / 唾液 / 抗酸化能 |
Research Abstract |
ダウン症候群(DS)が「生活習慣病」である歯周病,動脈硬化を早期より進行することにフリーラジカルによる酸化ストレスが関与するエビデンスとして,DS患者の唾液において酸化ストレスマーカーである8-hydroxy-2'-deoxyguanosine(8-OHdG)を指標として加齢により進行する歯周疾患の指標であるポケットの深さと8-OHdGの産生量に相関がみられ,DS群で8-OHdGの産生量が上昇していることから,DSでは幼少時より酸化ストレスが亢進していることを報告した(第8回日本抗加齢医学会総会優秀演題賞受賞)。これらに加え,DSのプラークによる検討から歯周病原菌の1つであるPorphyromonas gingivalis (P.g.)の検出を行ったが,P.g.は検出されなかった.今年度はさらに,in vitro ESR法による歯肉および歯根膜由来培養線維芽細胞,血液、唾液中に産生されるフリーラジカルの検出を進め,すでに確認している歯肉由来培養線維芽細胞におけるDS患者にみられるフリーラジカル,とくにヒドロキシルラジカル(HO・)の亢進が,炎症性サイトカインであるIL-1β,TNF-α刺激により濃度依存的に増大することを確認した。このエビデンスは炎症性サイトカインとフリーラジカルの連関を直接的に示唆する興味深い知見と思われる。また,唾液における直接的なフリーラジカルの検出は依然困難な状況であるが,唾液をサンプルとしてフリーラジカルを消去する抗酸化能評価法を本研究プロジェクトの過程で開発している。また,in vivoESR法における検討としては紫外線による顎顔面領域によるヌードマウスによるin vivoによる酸化ストレス評価を可能にし,DS病態動物モデルに移行する素地は現在整っている。
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