Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大山 秀樹 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (90280685)
寺田 信行 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (50150339)
山田 直子 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (10319858)
山根木 康嗣 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (00434944)
中村 秀次 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (20237423)
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Research Abstract |
本研究課題は,脂肪性肝炎の発症と進行に歯周病がどのように関与しているかを明らかにすることを目的とする。通年における研究の流れは,アルコール性脂肪性肝炎(ASH),非アルコール性脂肪性肝炎発症(NASH)患者および脂肪肝(FLD)患者のそれぞれにおける歯周病罹患状態を把握し,肝生検の所見および肝機能マーカーと歯周病の臨床所見との比較検討を行ない,さらには,各被験者の歯周病細菌に対する血清IgG濃度を各群間において比較検討することである。本年度は,前年度に構築したシステムに則り,5名の脂肪性肝疾患患者の歯周病に関わる評価を行った。患者は,NASH患者3名,FLD患者2名であり,それぞれの患者の肝機能に関する平均値はAST:43.4 (NASH:50.3, FLD:33.0),ALT:83.2 (NASH:105.0, FLD:50.5)であった。また,HbAlcおよび空腹時血糖の平均値はそれぞれ5.5,102.3であり,NASH患者とFLD患者間において差は見られなかった。一方,歯周病に関する臨床検査所見は,平均ポケット長:2.68mm (NASH:3.1, FLD:2.1),平均骨吸収率:18.6%(NASH:22.9%, FLD:12.0%)であり,FLD患者に比べてNASH患者の方が歯周病に関わる臨床パラメーター。また,それぞれの患者の歯周ポケット内の細菌をreal-time PCR法によって定量的に調べた結果,FLD患者に比べてNASH患者群において多くのPgが検出された。また,歯周病細菌に対する血清抗体価においてもFLD患者に比べNASH患者の方が高い傾向を示した。 以上の結果から,NASHの病態形成に歯周病が負の影響を及ぼすかもしれないという可能性が示された。次年度は,さらに患者数を増やすことによって,これらのことを明らかにする予定である。
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