2007 Fiscal Year Annual Research Report
高齢摂食・嚥下障害者に対する咀嚼・嚥下補助床の臨床的有効性に関する検討
Project/Area Number |
19592412
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
小沢 章 Showa University, 歯学部, 兼任講師 (30445598)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向井 美恵 昭和大学, 歯学部, 教授 (50110721)
村田 尚道 昭和大学, 歯学部, 助教 (10407546)
石川 健太郎 昭和大学, 歯学部, 助教 (80453629)
|
Keywords | 摂食・嚥下機能 / 嚥下補助床 / 口蓋部舌圧 |
Research Abstract |
【目的】摂食・嚥下障害者に対する歯科的対応の一つとして下顎臼歯部の咬合支持を保ちながら、口蓋の容積を調節して舌運動を容易にした嚥下補助床(swalloaid;SA)が考案され、いくつかの報告がなされている。先行研究よりSAの臨床的な効果は認められているものの、多様な嚥下障害を有する高齢者に対するSAの明確な作成基準が確立されていない現状にある。そこで、咬合高径の変化に伴う固有口腔の容積変化が嚥下時の口蓋部舌圧に及ぼす影響について検討を行った。【対象と方法】十分な説明の後に、本研究への参加に同意の得られた口腔機能に問題を認めない高齢者3名(女性3名)を対象とした。口蓋部に小型圧力センサ(PS-2KC,共和電業製)を埋め込んだ上顎咬合床を作成し、プリンを嚥下した時の口蓋部舌圧を測定した。圧力センサは仮想正中線上3か所、左右側方2か所の計5か所に設置した。通法にて作成した上下顎咬合床に対して、-3mm、-5mm咬合高径を下げた下顎咬合床を作成し、同様の舌圧測定を行い、それぞれについて検討を行った。【結果と考察】各被験者ともに咬合高径の低下により、各センサ部位において最大圧に違いが認められ、その様式は個人により異なる結果であった。嚥下時の舌と口蓋の接触時間では、高径が低くなることにより、前方と比較して後方部で長くなる傾向を示した。口腔機能に問題のない高齢者では、代償的な運動により、固有口腔の容積変化を補正している可能性が考えられた。【まとめ】本研究より、咬合高径の変化による固有口腔の容積変化が、嚥下時の口蓋部舌圧に影響を及ぼす可能性が示唆された。なお、本研究は昭和大学歯学部医の倫理委員会の審査、承認(2007-33)を経て行われた。
|