2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19592441
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西村 ユミ Osaka University, コミュニケーションデザイン・センター, 准教授 (00257271)
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Keywords | 実践知 / 身体知 / 看護場面 / 急性期医療 |
Research Abstract |
本研究は、急性期医療の看護場面における「実践知の成り立ち」と、それを成り立たせている参加者たちの「方法」を記述することを目的としている。実践知は、それを成り立たせている参加者にとって自明なことであったり、行為として表現していることであるため、自覚し難い。しかし他方で、確かに実践を成り立たせる知恵は、その営みの中で働いていると考えられる。それゆえ、フィールドワーク、およびインタビュー、映像記録によって得た質的な情報を記述的に浮かび上がらせることを計画した。本年度は、データ収集およびデータの分析を行った。具体的には、昨年度の予備調査(フィールドとなる病棟の状況を把握し、フィールドワークの方法を検討)を踏まえて、約2週間にわたる呼吸・循環器内科病棟でのフィールドワーク、看護師同士の申し送りやカンファレンスの映像・音声記録および個別インタビューを実施した。さらに、フィールド先である病院が企画・運営する、中堅看護師の研修に参加した。フィールドワークや研修への参加は、実践知を成り立たせている看護師たちの営みの場面に入り込み、文脈を絶たずに状況を理解するのに有効であった。また、フィールドノート、申し送りやカンファレンスの映像・音声記録、個別インタビューデータは、実践知の成り立ちを分析するための主たる資料としている。そのすべては、逐語に起こしてトランスクリプトを作成した。これらのトランスクリプトをもとに、申し送りやカンファレンスで積極的に議論されたり、看護師たちが相談し合いながら実践をしていた患者とのかかわりに注目して、そこでの議論のされ方、実践のされ方を分析しはじめている。その成果は、来年度の国際学会等で発表したり、論文として公表する予定である。
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