2010 Fiscal Year Annual Research Report
出産体験に伴う母親のPTSDを予防するためのガイドラインの開発
Project/Area Number |
19592524
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Research Institution | Kochi Women's University |
Principal Investigator |
松本 鈴子 高知女子大学, 看護学部, 教授 (30229554)
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Keywords | 心的外傷後ストレス / 出産体験 / 母親 / 出産後 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は母親が安心して育児ができ、次回の妊娠・出産へとつなげるために、出産後の母親の心的外傷後ストレス障害(PTSD)を予防するための対応策を看護の視点から提案することを目的とした。出産体験によって、健常新生児の母親にも欧米と同様にPTSDハイリスクの母親が存在すること、調査に協力した全対象の場合、健常新生児を出産した母親と、子どもがNICUに入院した母親のPTSDハイリスクの頻度は、子どもがNICUへ入院した母親の方が出産後1か月時には高率であるが、時期が経過するにつれて、健常新生児の母親と同程度になることが明らかになった。そして、以下の看護の示唆および研究課題が明らかになった。 1. 出産は従来、危機理論で捉えられてきたが、本結果より、出産がtrauma体験になっているかどうかという視点を加え、看護を行うことが必要である。2. PTSSの出現の早期発見ができるよう、出産レビューを重要な看護ケアとして位置づけ、母親の語りの中に、その兆候を発見できるスキルを向上させること。そのためには看護基礎教育や継続教育の中にPTSDの看護を組み込む必要がある。3. PTSDの発症を防ぐには、PTSSが認められたとしても、症状緩和や長期化しないように看護ケアを適切に行うことが重要である。その方法としてはPTSDについて正しい認識を持つこと、聴く力をつけることが不可欠である。4. 出産後1か月時にPTSDハイリスクであった母親、特にNICU入院児の母親に継続的に調査することができなかったので、今後は継続できるよう対象への依頼方法の検討を行うこと、さらに、PTSSに対応したIES-Rを使用したが、今後はよりtrauma体験をより明らかにするために面接法を用いた質的研究を行う必要がある。5. 看護ケアとしての出産レビューの効果、ケアの方法を開発することが必要である。そのためには、PTSDハイリスクと看護介入の関連を明らかにするための実証的研究が必要である。
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