Research Abstract |
地域高齢者の地域支援ネットワークのありかたを探る調査研究の一環として,沖縄県中部に位置する西原町において,地域高齢者の健康増進と社会参加促進を目的として実施している「いいあんべ一共生事業」の参加者を対象にフィールド面接調査を実施した。分析は芳賀らが我が国の高齢者を対象に開発したQOL質問表のほか,生活活動力,健康満足感,人的サポート満足感,経済的満足感,精神的健康,精神的活力の6項目について,日常生活健康行動及び精神健康指標のうち精神的自立性,タイプA行動パターンとの関連について検討した。解析結果から,睡眠状況との関連では,睡眠状況が良好な者ほど健康満足感,人的サポート満足感,経済的満足感は有意に高値であった。共生事業の参加年数との関連では,参加年数とQOL総得点,健康満足感,人的サポート満足感及び精神的健康と有意な関連を示した。日常生活健康行動との関連では,食生活は経済的満足感と,規則正しい生活は人的サポート満足感と,地域活動は生活活動力と有意な関連を示し,健康行動の良好な者ではいずれのQOL得点も高値であった。精神的自立性との関連では,QOL総得点,健康満足感,精神的活力で有意な正の相関を認め,自立性得点が高くなるにともないQOL得点も高値を示した。以上の結果より,地域在住の共生事業参加高齢者は,事業参加による人的交流や健康教育に関する啓蒙・実践的取り組み,レクリエーションなどのプログラム内が地域高齢者の社会参加やQOLの維持・向上に重要な役割を果たしている可能性が示された。現在,同時に実施したストレスを測る身体生理学的指標である唾液中free-MHPG及びIgAの分析を行っており,これらストレスマーカによる客観的知見と併せて総合的に検討を行うべく準備を進めている。得られた知見は,次年度「心身医学」「民族衛生」などの学会誌に投稿予定である。
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