2009 Fiscal Year Annual Research Report
中山間地域の里山における女性高齢者の健康資源開発に関する研究
Project/Area Number |
19592585
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Research Institution | Nagano College of Nursing |
Principal Investigator |
深山 智代 Nagano College of Nursing, 看護学部, 学長 (70060746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北山 秋雄 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (70214822)
多賀谷 昭 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (70117951)
那須 裕 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (50020839)
野坂 俊弥 長野県看護大学, 看護学部, 准教授 (90281253)
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Keywords | 看護学 / 健康資源開発 / 里山 / 国土保全 / 女性高齢者 / 游休農地 / グループ農業 |
Research Abstract |
遊休農地を利用したグループ農業への参加が健康に影響を与える可能性に焦点をあてて調査した。長野県の中山間地域でグループ農業に参加する女性高齢者に対し、参加観察およびグループインタビューを、作業が集団で行われる日に実施した。参加観察では、モチキビの収穫作業に参加し、作業状況や、作業中の会話の内容、参加者の表情等を観察し、収穫作業終了後にグループインタビューを実施した。インタビューでは、グループ農業の背景や、作物の種類と収穫量、作業が行われない冬季の状況等について質問した。参加観察またはインタビューの終了後、直ちにメモと記憶に基づいて文章化した。 得られたデータに内容分析を行い、次のことが明らかになった。1.地区は6~7戸の「班」と呼ばれる伝統的な小グループに分かれ、大部分の班にグループ農業の参加者がいる。2.主要作物の大豆は、傾斜地に適した固有品種で、特別な思いが込められている。3.主要作物の作付け前には道沿いに草花を植え、作物の収穫後は全体に紅白の蕎麦を植えて住民や観光客の目を楽しませる。4.収穫祭では子どもにモチキビを使った餅つきを伝授する。5.収穫物は学校給食や旅館の食材としても利用され、メンバーはそのことに誇りを持っている。6.メンバーは作物の種類ごとに分かれて細かく役割(連絡係を含む)を決めて作業を行う。7.作物ごとの作業は通常2人程度で行い、作業日誌に記録して他のメンバーの作業との調整をはかる。8.作業中の会話では、他のメンバーや家族、知人の安否確認や情報交換が活発に行われる。9.農作業のない冬季にはメンバーによる手芸教室等が開かれる。 これらのことから、グループ農業は女性高齢者の生きがいや生活の満足感を高めるだけでなく、集落のコミュニティ機能の統合性の維持を通じて住民全体の健康の増進に貢献すると考えられる。
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Research Products
(1 results)