2010 Fiscal Year Annual Research Report
中山間地域の里山における女性高齢者の健康資源開発に関する研究
Project/Area Number |
19592585
|
Research Institution | Nagano College of Nursing |
Principal Investigator |
多賀谷 昭 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (70117951)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北山 秋雄 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (70214822)
那須 裕 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (50020839)
野坂 俊弥 長野県看護大学, 看護学部, 准教授 (90281253)
|
Keywords | 看護学 / 健康資源開発 / 里山 / 国土保全 / 女性高齢者 / 遊休農地 / グループ農業 / 地域アイデンティティー |
Research Abstract |
本研究は、中山間地域の里山の遊休農地を利用した女性高齢者を主体としたグループ農業活動の実態を明らかにし、それが参加者や地域住民の健康や、地域の社会的・文化的・自然的環境に及ぼす影響を多面的に検討し、里山の保全と健康資源としての効果的な利用のための具体的な諸条件を明らかにすることを目的とした。平成22年度は、研究計画の最終年度に当り、既収集資料の整理・分析、情報の確認、追加資料の収集、結果の公表を行なった。具体的には、(1)グループ農業の実態と参加者自身の認識に関する記述・分析、(2)グループ農業によるソーシャルキャピタル醸成の可能性の検討、(3)伊那谷と木曽谷のグループ農業および農産物直売所に関する民族誌的データの収集、(4)上の(3)で収集したデータの分析とその結果に基づくグループ農業の成立条件の検討、(5)上の(1)と(2)の結果の学会発表、(6)報告書の作成を行った。なお、グループ農業の健康への効果の評価では、当初計画した参加者の医療費等の指標は実態に適さないことが判明したので、それに代えて精神的・心理的側面の観察と記述に焦点を当てた。 平成22年度に行った研究で次のようなことが明らかになった。 1. グループ農業の活動は相互扶助のネットワークの点検と強化を通じて共同体の維持や伝承の機会の確保という機能を果たしており、地域住民の生活や健康に多角的な影響を及ぼしている。 2. グループ農業の成立には強い地域アイデンティティーの存在が前提となり、共同体意識の強さによって活動のあり方が異なる。 3. グループ農業の活動を通じた地域アイデンティティーの表出・認知は、地域アイデンティティーや共同体意識の維持・強化とともに、表出者および認知者の精神的な健康の維持・増進に役立つと考えられる。
|
Research Products
(2 results)