2008 Fiscal Year Annual Research Report
認知症高齢者の施設入所を決断するまでの家族介護者の心理的変化
Project/Area Number |
19592611
|
Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
櫻井 美代子 Jikei University School of Medicine, 医学部, 教授 (20246408)
|
Keywords | 認知症高齢者 / 家族介護者 / 施設入所(グループホーム) |
Research Abstract |
3年計画の2年目にあたる本年度は、昨年度実施した2事例について逐語録を作成した。その結果、本研究の目的を達成するには2事例とも聞き取り内容が不十分であることが分かり、質問項目(ケースカード)内容の修正を行った。その後、本学の倫理委員会の審査を受け認可されたため、東京都内と長野県内で聞き取り調査を実施した。都内ではA施設とW施設の施設長の協力により5事例を、また長野県内ではS施設の施設長の協力を得て3事例を対象にインタビューを行い、ご本人の許可を得て内容を録音した。 データの逐語録を作成し、まず2事例のワークシートの作成と概念化の作業を進める過程で、グラウンデッドセオリー法による分析の適正化を評価する必要があると思い、M-GTAの第一人者である木下康仁先生が主催する研究会に参加し、分析手法についてのアドバイスをいただいた。2事例の分析を通して以下の点が明らかになった。 1.家族が入所先を特養ではなくグループホームを選んでいる背景には、「グループホームがその人らしさを保てる最適の環境であるから」という認識を持つことによって、入所は自分の親を見捨てるのではないという「罪悪感の転換」をしていること。 2.入所の決断を自ら納得するまでの心理的プロセスには、認知症の親と同じ時間を共有することによってはじめて、親が生きてきた人生に関心を持つという心の変化が生じており、その結果、親が最も好む生活環境や場が何処であるのかを理解していること。
|