2008 Fiscal Year Annual Research Report
マウス胚性幹細胞に由来する多能性造血前駆細胞の解析
Project/Area Number |
19599010
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
山根 利之 Mie University, 大学院・医学系研究科, 講師 (30452220)
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Keywords | 造血幹細胞移植 / 胚性幹細胞 / 造血発生 |
Research Abstract |
我々はマウス胚性幹(ES)細胞の試験管内分化系を用いて、胚発生過程においてc-Kit、AA4.1両陽性(c-Kit^+AA4.1^+)細胞が最初期の多能性造血前駆細胞として出現することを明らかにしてきたが、この細胞がマウス正常発生過程においていつどこで発生してくるのか明らかにするため、まず胚胎内における相同細胞の探索を行った。その結果、c-Kit^+AA4.1^+細胞は、胎齢9.5日胚において、胚体に比べ卵黄嚢に約20倍多く存在することを突き止めた。また実際にこれらの細胞を単離し、試験管内で分化されたところ、骨髄球系譜(赤血球、好中球、単球/マクロファージ)とリンパ球系譜(T細胞、B細胞)へ骨髄の造血幹細胞(c-Kit^+Sca-1^+Lin^-細胞)と変わらぬ効率で分化し、胚胎内においても細胞表面抗原としてc-KitとAA4.1を組み合わせることで骨髄球系譜とリンパ球系譜へ分化する最初期の多能性造血前駆細胞を単離できることを明らかにした。さらに胎仔循環の確立していない胎齢8.5日胚においても、卵黄嚢においてc-Kit^+AA4.1^+細胞が見つかることから、卵黄嚢が最初期の多能性造血前駆細胞の主な供給源となっている可能性が示唆された。またこれらの細胞は骨髄および胎仔肝の幹細胞抗原であるSca-1を発現しないこと、またES細胞に由来するc-Kit^+AA4.1^+細胞同様に、成体への生着能を有さないことから、成体へ移植可能な幹細胞へ分化するには何らかのシグナルが必要なことが示唆される。
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Research Products
(8 results)