2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19599019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Special Purposes
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
林 欣 Kyushu University, 大学院・歯学研究院, 学術研究員 (40452718)
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Keywords | 生体材料 / 炭酸アパタイト / 二相性 |
Research Abstract |
骨欠損部で迅速に生体骨に置換される人工骨置換材の創製を目的として、本研究では、二相性炭酸アパタイトブロックを調製する。この二相性炭酸アパタイトは、骨の無機主成分である炭酸アパタイトを主成分とするため生体内で代謝され、さらに第二相の炭酸カルシウムから溶出するカルシウムにより骨芽細胞の活性化が期待される。 今年度は、二相性炭酸アパタイトブロックの調製法を確立することを目的とした。アパタイトブロックは、通常、アパタイト粉末を高温で焼結することにより調製されるが、炭酸アパタイトおよび炭酸カルシウムは熱的に不安定であるため、焼結法ではブロックを調製することはできない。そこで、前駆体として、一軸加圧により水酸化カルシウムブロックを調製し、これを炭酸化することで炭酸カルシウムブロックを調製した。水酸化カルシウムブロックを1日間二酸化炭素雰囲気下で静置して硬化させた後、このブロックを炭酸ナトリウム水溶液に浸漬した。これらのブロックの組成を分析した結果、二酸化炭素に暴露後は水酸化カルシウムが残留していたが、炭酸ナトリウム水溶液で処理後は、炭酸カルシウム単相であることが分かった。次に、炭酸カルシウムブロックを、一部、炭酸アパタイトに相変換できるかを検討した。炭酸カルシウムブロックをリン酸ナトリウム水溶液に浸漬して種々の期間保持した。浸漬前後のブロックの組成を分析した結果、経時的に炭酸カルシウムが減少し、炭酸アパタイトが生成したことが分かった。この結果より、リン酸塩処理時間を調整することにより、二相性炭酸アパタイトブロックを調製できることが分かった。さらに、二相性炭酸アパタイトブロックからのカルシウムの溶出を検討した結果、炭酸カルシウムの含有量が多い試料ほど、カルシウムの溶出量が多いことが分かった。
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