2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19599019
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
林 欣 Kyushu University, 大学院・歯学研究院, 研究員 (40452718)
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Keywords | 生体材料 / 炭酸アパタイト / 二相性 |
Research Abstract |
本研究では、骨欠損部で迅速に生体骨に置換される人工骨置換材の創製を目的として、二相性炭酸アパタイトブロックを調製した。昨年度は、リン酸塩の処理時間を調整することにより、二相性炭酸アパタイトブロックを調製し、炭酸カルシウムの含有量が多い試料ほどカルシウムの溶出量が多いことが分かった。今年度は骨髄細胞を用いた骨形成能の評価、及び破骨細胞を用いた骨置換材吸収性の評価を行った。 1.骨髄細胞を用いた骨形成能の評価 4週齢のSDラットの骨髄細胞を用いて、リン酸塩処理時間(12時間、1日、3日、5日)の異なる試料(二相性リン酸カルシウム骨置換材)及び炭酸アパタイト試料の上で培養し、細胞接着能、細胞増殖能を検討した。さらに同骨髄細胞を各試料の上で14日間培養し、Real Time RT-PCR遺伝子発現定量法によって、osteopontin、 BMP-2およびosteocalcinなどの各骨分化マーカーのmRNA発現レベルを検討した。その結果、リン酸塩処理時間が長いほど、骨髄細胞接着率および細胞増殖率が高くなる傾向が認められた。骨分化マーカーのosteopontin、 osteocalcinについては、すべての試料においてほぼ同程度のmRNA発現量を示した。BMP-2については、リン酸塩処理時間が一日の試料において他の試料より高いmRNA発現量を示すことが明らかとなった。 2,破骨細胞を用いた骨置換材吸収性の評価 破骨細胞の形態および破骨細胞により吸収窩の形成することを観察するために、生後4日のSDラットの骨髄細胞から活性型ビタミンD3によって分化させた破骨細胞を用いて、各試料の上で培養した。その後、四日間培養後の試料表面を操作型電子顕微鏡(SEM)で観察し、破骨細胞による骨吸収性について検討した。SEM観察の結果として、すべての試料表面に破骨細胞による吸収を示すハウシップ窩が表面に認められた。 以上の結果から、二相性リン酸カルシウム骨置換材は炭酸アパタイトと同様に破骨細胞による吸収性を有し、炭酸アパタイトと同程度、或いはそれ以上の骨分化能を示していると結論づけた。
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