2008 Fiscal Year Annual Research Report
難治性疼痛に対する新規治療薬ならびに特異的治療法の開発
Project/Area Number |
19603011
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Research Institution | Tohoku Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
桜田 忍 Tohoku Pharmaceutical University, 薬学部, 教授 (30075816)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝口 広一 東北薬科大学, 薬学部, 准教授 (30360069)
渡辺 千寿子 東北薬科大学, 薬学部, 助教 (90296020)
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Keywords | 難治性疼痛 / 鎮痛薬 / オピオイド / 内因性ペプチド / ジーンセラピー |
Research Abstract |
平成19年度に研究代表者らは、神経障害性疼痛の発症時にはmorphineの鎮痛作用は著しく減弱する一方、新規鎮痛薬amidino-TAPAの鎮痛作用は維持されていることを発見した。そこで、神経障害性疼痛下におけるamidino-TAPAの鎮痛作用の発現に関わるμオピオイド受容体スプライスバリアントを、μオピオイド受容体DNAのexon選択的アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドを用い検討した結果、amidino-TAPAの鎮痛作用はexon-1含有スプライスバリアント、MOR-1J、MOR-1KおよびMOR-1Lを介して発現していることが明らかとなった。また神経障害性疼痛発症時における、脊髄後角ならびに脊髄後根神経節における各スプライスバリアントの発現量の変化を、RT-PCR法を用い坐骨神経結紮後経日的に測定した結果、脊髄後根神経節においては坐骨神経結紮後exon-1含有スプライスバリアントの発現量に著しい低下が認められたが、MOR-1KおよびMOR-1Lの発現量には変化は認められなかった。一方、脊髄後角における各スプライスバリアントの発現量には、坐骨神経結紮後全く変動は認められなかった。平成19年度に明らかとなった様に、morphineの鎮痛作用はexon-1含有スプライスバリアントのみを介して発現することから、神経障害性疼痛発症時にmorphineの鎮痛作用が減弱するのは、1次知覚神経終末のexon-1含有スプライスバリアントの発現が低下することに基づくことが明らかとなった。一方、1次知覚神経終末のMOR-1KおよびMOR-1Lの発現量は坐骨神経結紮後も変化しないため、神経障害性疼痛発症時においてもamidino-TAPAの鎮痛作用は維持されることが明らかとなった。また、炎症性慢性疼痛発症時におけるmorphineの鎮痛効力の変化を検討した結果、炎症性慢性疼痛下においては、圧刺激に対するmorphineの鎮痛作用は炎症側・非炎症側共に著しく減弱する一方、熱刺激に対する鎮痛作用は炎症側において逆に増強されることが明らかとなった。現在、炎症性慢性疼痛発症時における、各スプライスバリアントの発現量の変動を検討中である。
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Research Products
(12 results)