2009 Fiscal Year Annual Research Report
博物館等民俗資料収蔵施設における椿油を用いた簡易的防錆処理の研究
Project/Area Number |
19611011
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Research Institution | Kyoto University of Art and Design |
Principal Investigator |
伊達 仁美 Kyoto University of Art and Design, 芸術学部, 准教授 (00150871)
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Keywords | 椿油 / 防錆処理 / 民俗文化財 / 民具 / 民俗資料 / 博物館 / 民俗資料館 / 簡易処理 |
Research Abstract |
本年度の研究は、3年間の実験の総括を中心として実施した。石川県立白山麓民俗資料館、石川県立歴史博物館、四国民家博物館、滋賀県立琵琶湖博物館、致道博物館、世田谷区立次太夫堀民家園、原野農芸博物館において実験資料を回収し、錆の発生状況を確認した。錆の発生評価については、JIS K-2246に基づき50mm四方の測定面で行なった。測定面に0.5mmの罫線で一辺が5mmの正方形を100個刻み、その中に発生する錆を1点とし、両方にまたがった錆はそれぞれ1点とした。その合計を錆発生%とし、それらの結果を椿油の差異、油の分析値(酸価、ケン化価、ヨウ素価)によるもの、実験環境(温度、湿度)によるものかなど、錆の発生要因について分析した。その結果、油の差異による錆の発生率には若干の差はあるものの、主に保管環境の違いによるとわかった。多くの実験施設で椿油を塗布していないコントロール試料には100%もしくは、それに近い錆発生率の数値が出ているにもかかわらず、椿油を塗布した試料では、低い数値となっている。また、温度、湿度の変化が少ない収蔵施設では、コントロールにも錆の発生は見受けられない結果となった。ただし、オイルステインについては油を塗布したほぼすべての資料に発生しており、塗布および拭き取りの方法については、今後の課題となった。 本研究の目的の一つである博物館や資料館等、民俗資料を収蔵している施設において、学芸員や担当者、地域住民、ボランティア組織等が安全にかつ容易に施工できる防錆処理の普及を行なうため、各地でワークショップを開催した。また、本研究成果をふまえて『博物館等民俗試料収蔵施設における簡易的な資料保存と修復マニュアル』を作成した。
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Research Products
(1 results)