2009 Fiscal Year Annual Research Report
コウノトリはなぜ豊岡盆地で生き残れたのか?-標本と歴史資料が語る生態系のしくみ-
Project/Area Number |
19611022
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
三橋 弘宗 University of Hyogo, 自然・環境科学研究所, 講師 (50311486)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 和明 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 講師 (50326295)
江崎 保男 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 教授 (10244691)
大迫 義人 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 准教授 (40326294)
|
Keywords | コウノトリ / 自然史標本 / 企画展示 / 生態系管理 / 自然再生 / GIS |
Research Abstract |
これまで収集してきた画像や分布や行動に関する知見、自然再生の取り組みを元にして、人と自然の博物館にて写真を中心とした企画展示を開催した。野生のコウノトリの分布記録の紹介や各地での観察事例をパネルにて紹介するほか、フォトフレームによる映像展示の技法を適用した。一方で、収集した分布記録や標本情報は、データベース化を完了させて、全国での野生コウノトリ飛来に関するポテンシャルマップや円山川の生態系評価について、エントロピー最大化モデルや各種統計モデルにて推定した結果、海岸近くの低地で、水田の密集規模が大きい場所の寄与が大きいこと、主要な干潟や河川河口部の寄与が大きいことが分かった。これは、河川や干潟と隣接してまとまりのある水田が存在することが生息地として適することを意味し、豊岡と類似する場所として福井県北部、千葉県南部が挙げられた。自然再生に関する取り組みでは、野外看板の設置や市民参加型の自然再生を実施したほか、高水敷掘削やわんど造成の効果を検証した。高水敷き掘削により、水深30センチ以下の浅瀬の創出がコウノトリの飛来に影響し、潮の干満が飛来に関連することが分かった。ワンドでは、半閉鎖型となるワンドがコウノトリの餌生物の現存量や種数を高めることが分かった。安定同位体によるコウノトリ標本の分析については、類似のサギ類の羽を用いて分析を行い、炭素、窒素、硫黄、ストロンチウムから由来期限の解析を行ったが、前処理に課題があるため測定誤差が大きく、通常の方法で対応できないことが分かった。この点は、現在も各種研究機関と協力して測定方法を模索しており、方法論の見直しを余儀なくされた。
|
Research Products
(22 results)