2007 Fiscal Year Annual Research Report
電位依存性K-チャネルが示す2種類の開口状態と性質の異なった電流成分の解析
Project/Area Number |
19650074
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
三宅 教尚 Hokkaido University, 機器分析センター, 准教授 (30133771)
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Keywords | 電位依存性K^+チャネル / シェーカー型K^+チャネル / 単一チャネル電流 / K電流 / 2個の開口状態 / パッチクランプ法 |
Research Abstract |
シェーカー型電位依存性K^+チャネルの一つであり生体に広く発現しているKv1.2チャネルは均質なチャネルを形成しているにも拘らず著しく性質の異なった2種類のK+電流を示すことを見出した.この様な1種類の均質なチャネルが2種類以上の異なった電流成分を持つというユニークな現象の説明の一つとして,"個々の均質なチャネルが複数個の開口状態を取り,それらの開口状態の性質が異なっていると,この単一種チャネルは各開口状態に対応した性質の異なった複数の電流を流し得る"という仮説が考えられる. この仮説を検証するためにパッチクランプ法を用い,1個のKv1.2チャネルのみがパッチ膜に入った状態で単一チャネル電流を測定した.得られた単一電流記録の開口時間と閉鎖時間の確率分布を解析することで1個のKv1.2チャネルの開口状態と閉鎖状態の数を決めた.ほぼ全てのデータ(12/13)で3個の閉鎖状態と2個の開口状態が観察され,この2種類の開口状態の平均開口時間はそれぞれ1m秒以下と5m秒以上であった.多くの電位依存性チャネルの開口状態は1個であり,このように平均開口時間が大きく異なっている例は現在まで報告されておらず,Kv1.2チャネルの特徴的な性質と考えられる.以上の結果は上述の仮説を支持している. 今後,遺伝子改変により1種類の全細胞電流のみを示すようになった改変Kv1.2チャネルをコントロールとして用い,それぞれのチャネルの単一チャネル電流を比較検討することでこの仮説をより確かなものにする予定である.
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