2008 Fiscal Year Annual Research Report
肢体障害者の装具(身体機能補助増進衣)の着心地改善に関する研究
Project/Area Number |
19650199
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Research Institution | Shijonawate Gakuen University |
Principal Investigator |
緑川 知子 Shijonawate Gakuen University, リハビリテーション学部, 教授 (30149538)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 協子 四條畷学園大学, リハビリテーション学部, 教授 (60342185)
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Keywords | 肢体障害者 / 装具 / 着心地 / 被服学 / 温熱生理学 |
Research Abstract |
肢体障害者は運動機能だけでなく体温調節機能にも障害をもつことが多い。にもかかわらず、肢体障害者に運動機能の補助増進を目的として用いられる補装具等の研究はもっぱら運動機能に関するものが多く、補装具の着心地についての研究は少ない。 そこで、「補装具」の着心地改善を目的とし、高齢者の増加とともに増加している肢体障害者の生活の質向上に貢献することを目的として本研究を企画した。 平成19年度に行った身体障害者の装具着用実態と着用感に関する調査の結果から、短下肢プラスチック補装具が一番多く使用されていることが明らかにされた。プラスチック素材は成型の容易さ、強度、価格面で優れている。しかし、プラスチック素材は吸湿・吸水性、透湿・透水性が低いため、体表からの不感蒸散と発汗による水分処理が困難となり、着心地が悪いだけでなく被服生理学的・温熱生理学的に好ましくない。水分処理において優れる繊維素材は必要強度を得ることが難しく、また、強度がある炭素繊維は薄いものを作れるが成型が難しいので、汎用されているプラスチック製品の着心地改良を平成20年度に試みた。 不感蒸散と発汗による水分を装具内環境から排出する経路として、(1)プラスチック内通過経路はプラスチック素材の開発を必要とするため困難である。(2)皮膚と補装具の間からの経路は、下垂足等の変形を矯正するため身体に密着して装着されるので、隙間を維持させることが難しい。(3)プラスチック面の穴からの経路については、補装具の力学的安全性を満たすことが重要である。そこで、必要な矯正力を持ち且つ安全な範囲内で通気孔をあけ被覆面積の小さいデザインの補装具製作、歩行による換気作用の利用、また、水分を吸水し皮膚から離れたところで保持し、皮膚表面を快適に保つパットを補装具に貼る等による着装改善を試みた。
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