2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19650225
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森村 成樹 Kyoto University, 霊長類研究所, 助教 (90396226)
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Keywords | 動物園 / 環境教育 / 環境エンリッチメント / 展示技法 / 教育効果 |
Research Abstract |
チンパンジーは5施設99個体、シロクマは1施設2個体、アフリカゾウは1施設2個体の行動観察を実施した。展示技法による行動の差異をチンパンジーの飼育施設間で、種差について3種の間で行動を比較した。チンパンジーでは、採食、社会交渉の時間配分が展示技法によって最も大きく変化した。休息はどの施設でも主要な活動で、展示技法に寄らず約65%を占めた。3種間では、採食/休息/異常行動が大きく変化した。チンパンジーは、時間配分が多い順に休息、採食、異常行動だった。シロクマでは休息、異常行動、採食、アフリカゾウでは採食、異常行動、休息の順だった。また、アフリカゾウの観察は1施設だったが、給餌条件の効果についても検討した。同量の食物を1日1回給餌する条件と2回給餌する条件とで行動を比較した。1回給餌において採食時間が長く、異常行動は短くなった。反対に、2回給餌では採食時間が短くなり、異常行動が長くなった。以上から、展示技法は動物の行動や活動性に影響を与え、同じ展示技法だとしても給餌などの飼育条件を操作するといった環境エンリッチメントによって行動が変化することが分かった。展示技法や環境エンリッチメントをどのように実施するかは、観客の興味や動物の理解にも影響を与えることが示唆された。 今年度の調査結果をもとに、来年度は動物の行動や活動性と観客の興味や動物の理解の程度について調査を実施する。観客の動物観に関するアンケート調査、観客の滞在行動調査、展示動物の行動調査の3つをおこなう。こうした調査によって、動物園で環境教育を効果的に実施するための展示技法や教育手法の開発につなげる。
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Research Products
(3 results)