2007 Fiscal Year Annual Research Report
グラファイト超薄膜のインターカレーションと電気伝導測定
Project/Area Number |
19651044
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
神田 晶申 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (30281637)
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Keywords | グラファイト超薄膜 / グラフェン / 電界効果 / 超伝導近接効果 / スピン伝導 / 電気伝導 / 電界遮蔽 |
Research Abstract |
本研究では、グラファイト超薄膜に各種原子分子のインターカレーションや表面吸着を施すことによって新機能性を発現させ、それをゲート電圧によって制御することを最終目標としている。平成19年度は、インターカレーションに必要な実験設備を整備するとともに、デバイス作製技術を蓄積し、グラファイト超薄膜の基礎的な伝導特性(電子、スピン、クーパー対)に関する実験を行った。 まず、独自の方法によって高効率のトップゲート電圧印加を実現し、伝導の膜厚、ゲート電圧依存性から、層間方向の電界遮蔽長が1.2nmであることを実験的にはじめて明らかにした。これは、今後のデバイス設計に大きな指針を与える。また、微細加工法と自然形成法の両方の方法によってグラファイトリボンを形成することに成功し、リボンでは膜の凹凸に起因した単一電子帯電効果によって伝導のゲート制御が可能であることを初めて示した。さらに超伝導体、磁性体を電極に用いることで、クーパー対伝導、スピン伝導の特性を明らかにした。超伝導体接合では、近接効果による超伝導電流をゲート電圧によって変調させることに成功した。超伝導電流は温度低下とともに急激に増加するが、これは従来のSNS接合の振る舞いとは大きく異なり、電界遮蔽の影響を考慮しなければならないことを示唆している。また、超伝導電流のゲート電圧依存性を調べることによって、電子超伝導臨界電流がホール超伝導臨界電流よりも常に大きくなる「電子ホールの非対称性」を見出した。磁性体接合では、非局所磁気抵抗測定を用いて、磁性体の磁化の向きに応じたスピン注入を観測した。スピン綬和長が他の材料(グラフェン含む)に比べてもきわめて長いことを明らかにし、グラファイト超薄膜のスピンデバイス材料として優位であることを示した。
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Research Products
(33 results)