2008 Fiscal Year Annual Research Report
グラファイト超薄膜のインターカレーションと電気伝導測定
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19651044
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
神田 晶申 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (30281637)
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Keywords | グラファイト超薄膜 / グラフェン / 電界効果 / 超伝導近接効果 / スピン伝導 / インターカレーション |
Research Abstract |
本研究では、グラファイト超薄膜に各種原子分子のインターカレーションや表面吸着を施すことによって新機能性を発現させ、それをゲート電圧によって制御することを最終目標としている。インターカレーション(表面吸着)させる物質として、アルカリ金属であるカリウムを選定した。カリウムは、バルクのグラファイトにインターカレート(C8K)すると極低温で超伝導となり劇的な物性変化をもたらすことが知られている。グラファイトを原子レベルまで薄くしたグラフェンでは、低次元化とゲート電界印加により、C8Kからの物性変調が期待される。特に、超伝導転移温度の上昇やゲート変調が観測されると興味深い。一方で、単体カリウムやC8Kは空気中で不安定であるために、電気伝導測定用グラフェン試料の作製プロセス、測定プロセスをカリウム試料に最適化する必要がある。本研究では、以下に示す手順によって、試料作製・極低温測定を行う方法を確立した。(1)配線済みグラフェン試料上面にカリウムを蒸着、(2)不活性ガスで満たしたグローブボックスに試料を搬送し、必要に応じてチューブ炉でアニール(3)紫外線硬化接着剤を用いて試料を不活性ガスでシール、(4)試料を低温冷却装置まで搬送、(5)低温冷却装置を真空にし、冷却・測定を実行。 4Kまでの測定で、カリウム蒸着によって移動度が減少すること、電荷中性点(キャリア密度が最小になるゲート電圧値)がマイナスに移動することが観測された。これらのことは、カリウムによって電子がドープされるとともに、荷電不純物が増えることで散乱、電荷中性点での状態密度が増えたことに起因すると考えられる。今後、希釈冷凍機を用いて極低温測定を行うとともに、試料作製プロセスの更なる改良を行う予定である。
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Research Products
(29 results)