2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19652031
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
三上 英司 Yamagata University, 地域教育文化学部, 准教授 (30219597)
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Keywords | 諡号 / 人物評価 |
Research Abstract |
19年度は、研究の初年度であり、研究の礎石となる資料の収集と整理が中心的な活動となった。当初の計画通り『逸周書(汲冢周書)』「諡法解」の各版本の異同を比較する作業を進め、これを終了させた。この作業の一環として行った静嘉堂文庫蔵・元刊『汲冢周書』「諡法解」の調査では、これまで元刊の翻刻とされていた四部叢刊・史部所載の『汲冢周書』「諡法解」に、内容的にいくつかの異同のあることが確認された。これは、これまでの先行研究が全く指摘していない点である。すでに小職の発表論文(「唐代における諡号『文』について」)において言及するように、諡法は当時の人々の評価基準が如実に反映する鏡であり、時代・社会の変化に応じて贈与基準が変動する性質を持つものであることが、ここでも確認できた。また、静嘉堂文庫蔵・元刊『汲冢周書』が現存する最古の『逸周書』であろうと推測されるが、この点について次年度以降分析を深める。 研究初年度の研究事項として、「孔子諡号の変化」を分析し、贈与基準の変化を通史的に確認する作業をあげたが、この点については周代春秋期から清代までの資料調査を終え、現在分析を進めている。現段階で留意すべき特徴として確認されている事柄は、前漢末に正式に礼法として贈与された「宣」が、漢代に入ってからほとんど用いられることの無かった特殊な諡号であることと、贈与に際して中心的な役割を担った人物が後に前漢を襲い新を建てた王莽であった点、および唐代贈与された「文宣」が後世一般化するのに呼応して「文」・「宣」が諡号の中でも特異なステータスを獲得していった点である。今後これらの特徴を踏まえながら、評価意識が変容して行く過程を明らかにする。
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