2007 Fiscal Year Annual Research Report
グイ語語彙の単言語意味記述に関する基礎的および応用的研究
Project/Area Number |
19652036
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
中川 裕 Tokyo University of Foreign Studies, 外国語学部, 教授 (70227750)
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Keywords | コイサン / 危機言語 / 語彙意味論 / 辞書編纂 |
Research Abstract |
今年度は、まず始めに、すでに収録済の約1000語項目分のグイ=メタ言語による意味記述のフィールド録音資料を、コンピュータ上で録音再生編集加工が容易な非圧縮音声ファイルに変換する作業と、そのファイル・インデクスの作成に着手した。 この作業がある程度進んだ時点で、録音ファイルの聞き取りと表記資料の作成を始めた。聞き取りを効率的に行うために、音声ファイルの空白部分や使用不可能部分等の削除や、そのほか単純なファイル編集作業をアルバイトの支援で同時進行させた。 聴き取りと表記文書化をする過程で、頻繁にメタ言語に用いられる語彙や表現を観察した。また、メタ言語で言い換えに用いられる語彙群は、同意語や類義語や反意語、あるいはその他の意味関係(たとえば包含関係、階層関係、部分全体関係)により適宜分類し、そこから語彙意味構造を表示する際に有効な、グイ特殊概念とより普遍的な概念の特定に着手した。これは、今後、語彙意味論的な記述上の問題や、理論上の問題を発見するために重要になる。これらの作業は次年度以降も継続して、新資料を対象に行うことになる。 3月に約2週間のボツワナ共和国での調査旅行を実施した。ハンシー県コエンサケネ(ニューカデ)村のグイ集落において集中的にインフォーマントとの面談調査、資料録音を行った。モノリンガル意味記述の未録音語彙のうち、2モーラ語約800語項目の録音を終えた。それと同時に新発見語彙を含む多くのideophoneを同定したが、この語範疇は意味記述が極めて困難で、これがどのようにメタ言語で定義されるかは、今後取組むべき極めて重要な課題であることに気づいた。
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